卒業のあと 20
「音楽の勉強をする為にこのグループを卒業します。」
今から半年前、私はこういった。
コンサートの途中だった。
メンバーも観客もみんな驚いていた。
何の前触れもなかったから驚くのも無理はない。
国民的アイドルグループと言われるアイドルグループ
「23区トウキョウ」
シングルは軒並みオリコン1位
売上枚数はミリオンを連発
レコード大賞も受賞し、他のアイドルの追随を許さないグループだ。
その姉妹グループ
「16区ナゴヤ」
23区グループから満を辞して姉妹グループとしてデビュー
シングルの売り上げは23区グループには及ばないものの50万枚を超える
オリコンも1stは5位、2nd.3位、3rd3位、4th2位と確実に順位を上げていた。
これから売れていくアイドルグループとして誰も疑わないし期待もされていた。
そんな人気急上昇中のグループに私はいたのだ。
中学生2年生からアイドルとしての活動を始めた。
グループの初期メンバーの1人としてだ。
デビューしてから今まで、楽しい事も辛い事も色々あった。
もちろん自分がアイドルという自覚もあったし、トップを目指そうと頑張っていた。
運営側もその頑張りを見ていてくれたのだと思う。
その証拠にシングルの表題曲は全て選抜入りしていた。
20人いるメンバーの中で12人に絞られるシングルに参加できる選抜メンバー、その中でもさらに前の5人はフロントメンバーと呼ばれグループの顔になる。
その中の1人だった。
私の卒業を周りはもちろん止めた。
しかし私の意思は固かった。




