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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
赤黄色の胸騒ぎ
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赤黄色の胸騒ぎ 48

最近一緒にいる機会が多い小高さんなのだが2人で下校する事は今までなかった。

彼女は平日、授業が終わるとトランペットのレッスンの為に名古屋へと通っている。

私もギターの練習の為に楽器屋「RACK」に向かう。

放課後の過ごし方はお互い同じ。


ただ、小高さんは駅に向かうし、私は自宅に戻る。

その為、どちらかに合わせる事はなんとなくだが、しない様にしていた。

今日はたまたま小高さんのレッスンが休みの為、こうして一緒に帰っている。


「小高さんって私の隣の中学だったんだね」


「そうなんですよ。私は駅の向こう側に住んでいるので、柄本さんの中学とは校区が違うんです」

話の話題はお互いの出身中学校の話。

変な校風があったとか、特徴のある先生がいたとか思い出話で盛り上がっていた。

私は2年生から芸能科のある中学に転校した為、公立と私立どちらも経験している。

その為、小高さんは興味深々に私の話を聞いていた。


小高さんがさっき言っていた通り私が1年生の間お世話になっていた中学と彼女のいた中学は駅を境に校区が分かれている。

だが、お互いの家は意外と近く自転車で15分位の場所にある事が分かった。

私の家から楽器屋「RACK」までがちょうどその距離。

もしも、駅がなかったら。

私と彼女は同じ学校だったのかもしれない。


しかしながら、私は途中から中学を転校した身。

同じ中学校だったら同じクラスになる事なく、逆に仲良くなれなかった可能性もある。


住むところが少し違うだけで一生顔を合わせる事がない人もいる。

そう考えるとこうやって一緒に帰っている事はとてつもない確率の上に成り立っているのかもしれない。

なんてロマンチックな事を考えていたのだが、ある瞬間身震いをしてしまう。


一つ選択が違えば私はアイドルじゃなかったかもしれない。

先輩達に会う事もなく普通の女子高生として、夏休みに胸を躍らせていたかもしれない。

バイトをして、プールなんか行ったりして、塾の夏季講習に出たりしていたのかもしれない。

もしかしたら、アイドルのライブや握手会に行く側だったかもしれない。

「かもしれない」が積み重なっていく。

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