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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
赤黄色の胸騒ぎ
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赤黄色の胸騒ぎ 44

「先輩達、オープンキャンパスってこの時期に行きました?」

担任の先生から貰ったパンフレットを見ながら私は尋ねる。

ここはいつもの楽器屋「RACK」

そして、いつもの4人が使い古したテーブルを囲み座っている。


「そんなに早くないよな!オープンキャンパスってむしろ俺たちの学年の今の時期じゃないのか?」

豊田先輩は私が机に広げたパンフレットを見ながらいう。


「柄本の高校は進学校だからだろ。進学校は大体この時期に進路に向けて勉強始める時期だし」

そう言っている横井先輩もパンフレットを捲っている。


「そうなんか!進学校って大変だな!」

そこまで進学校と言われると反応に困る。

確かに私の通っている高校は一応進学校だ。

その為否定する訳にもいかず、肯定するのも透かしているみたいで恥ずかしい。

そして、自分のやっている事を振り返っていると背筋に冷たいものを感じ始める。


今私は、こんなに大学のパンフレットを机に並べて先輩達にオープンキャンパスに2年生で行くものなのかと質問している。

これではまるで私が進学校である事を見せつけているみたいではないか。

早めに行きたい大学を決め受験を頑張っていますと言っているようなものだ。


小学生の頃、学校の授業中に塾で予習した事を大きな声で発表するクラスメイトがいた。

あの頃の私はそのこの事を頭がいいなと純粋に思っていた。

今思えばその子は、周りよりも自分は先に進んでいるとアピールし優越感に浸りたかったのだろう。

歳を重ねるにつれ、その事に気付いた私だが今の自分はまさにそれと同じ事をしている。


慌ててこの話を切り上げたいが自分から広げた風呂敷。

今更畳むわけにはいかない。

自分の行動の甘さをただただ恨む。


「そうなんですか?ただ担任の先生に言われたので行かなきゃって思っただけなんですけどね」

私は担任の先生のせいにしてあくまで自分発信ではないとアピールする。

パンフレットを見るフリをして無表情を貫いているが内心は冷や汗が止まらない。

夏なのに寒気がするくらいだ。

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