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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
赤黄色の胸騒ぎ
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赤黄色の胸騒ぎ 35

「私のにらんだ通りやっぱり何着ても似合うね」

試着室のカーテンを開けた私を店長は、納得した様に腕を気味ながら頷く。



「少し派手過ぎませんか?私達はそんな派手なバントじゃないんです。服が曲よりもインパクトある様な気がして」


「ステージに立つなら少しくらい派手でもいいじゃない。この感じだと普段無地しか着ないんでしょ?」

一応反論するならちゃんとした所に出掛ける時はその場にあった格好をする。

そう口にしかけた私は自分の言葉を飲み込む。

店長の言っていることは図星なのだから。


カーテンを閉めた私は鏡に映る自分の姿を改めて見つめる。

オーバーサイズの柄シャツにスカート。

ステージにスカートはやっぱり違う気がする。

私は次の服を試着しようと野菜柄のシャツのボタンに手を伸ばす。


ボタンを半分外した所で手が止まる。

少し考えた後、一度外したボタンを巻き戻す様に掛け直す。

そして、スカートだけをズボンに履き替える。

その作業を何度か繰り返したが、野菜柄のシャツは着たままでいた。


そういえば、握手会で着る服を考える時もこんな作業をばかりだったなと思い返す。

私が所属していたグループは3ヶ月に1回は握手会があり、その中で全国4都市を回る。

しかも、1日の握手会の中で最低1回は私服を着替えでいた。

だから、最低でも8着のコーディネートが必要だった。


何着も着ては脱いで、着ては悩んでの繰り返し。

なんども繰り返していると何を着れば良いのか分からなくなる。

結局自分では決められなくなって、いつもあの人にコーディネートの写真を送って決めて貰っていた。


あの頃はアイドルらしい服ばかりを意識していた。

パステルカラーと可愛いパンプスとスカート。

今は無地で地味な色の服とスニーカーしか選ばなくなったのはその反動なのかも知れない。


そんな私が今自分ではまず選ばないであろう柄シャツを脱げずにいる。

初めは派手過ぎると思っていたのに。

これを着ている姿を見た先輩達はどう思うだろう。

観客の反応はどうだろう。

そんな事を気にしていたはずなのに。

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