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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
赤黄色の胸騒ぎ
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赤黄色の胸騒ぎ 31

「あの…私あんまりデパートとかでは買い物しないんです」

気まずそうな顔をする彼女。

出鼻を挫かれた私。

だが、余計に興味が湧いてくる。


彼女がどんな服装を好むのか。

私は興味があった。

一度だけ見た彼女の私服は大人っぽく、それでいて女子らしい。

だから、彼女がどんな所で服を買うのかを知りたかった。


「そうなの?なら、今日は小高さんのお気に入りのお店教えてよ!」

こうなったら好奇心は抑えられない。

私は先程取り戻した筈の購買意欲をすっかり忘れ、彼女について行くことにした。


彼女は栄の街を離れ商店街を目指す。


「大須商店街」

名古屋を代表する商店街の1つ。

栄の街よりも幅広い層の老若男女がここを訪れる。

話題のドリンク片手に写真を撮る女子高生から、みたらし団子を囲み井戸端会議をしている老人達。

夕飯の買い出しに来たであろう主婦。

商店街は様々な人々の目的を満たしてくれる。


それに関しては、私達も例外ではない。

彼女は何かを見つけたのか大通りから一本離れた裏路地に入っていく。

迷う事なく歩いているのを見ると何回も来ているのだろう。

少し狭い通りだがお店が疎らに並んでいる。

アイドル時代、よくテレビのロケでこの商店街には来ていたし、プライベートでも何回も足を運んで来た。

だけど、これは初めて見る景色。

さながら、不思議の国のアリスとでも言った所だろうか。


不思議な国に迷い込んだアリスは前を歩くウサギを追いかける。

追いかけると言っても、私が周りのお店に気を取られて歩くのが遅れているだけなのだが。

そんなウサギはあるお店の前で立ち止まる。

そして、私の方を振り向き笑顔を見せる。


「ここが私がよく服を買うお店です」

案内されたのは裏路地の一角にあるショップ。

外観はウッド調のレイアウトで、まるで秘密基地の様。

彼女に連れられ私はお店に入ると、店内もウッド調で統一され木の温かみを感じる。


売っている洋服はカジュアルやフェミニンなものが多く、どちらかといえば大人な雰囲気。

制服を着た私達は少し背伸びしないといけない筈なのに、店内にいる彼女は自然とお店に溶け込んでいた。

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