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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
赤黄色の胸騒ぎ
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赤黄色の胸騒ぎ 29

「無理にとは言わないんだよ!用事とかトランペットの練習とかあったらそっち優先して欲しいし…」

お弁当を持ったまま固まっているの彼女。

私は気を遣わせてしまったのかと不安になる。


「行きます!行きたいです!」

彼女はお弁当を持ったま前のめりに私に訴えかける様に言う。

私はその迫力に圧倒される。

その時の彼女には覇気があった。


こうして私達は買い物に行く事となった。

ちょうど3次選考で着る服を買わなくてはと思っていたし、買いたい雑貨もある。

スタジオに篭りっきりだったわけだし、少し息抜きしてもバチは当たらない筈だ。


学校帰り制服を着たまま電車に乗り込む。

ついこの間までそれが当たり前だったのに、新鮮さを感じている。

この高校の制服を着て電車に乗るのが初めてだからというのもあるが、小高さんと初めて出掛けるという事もあるかも知れない。


私が思い描いていた女子高生を今なぞっている。

いつもより化粧を気持ちちゃんとして、髪型もしっかりセットした。

他に何をすればいいのかは正直思いつかない。


小高さんはいつもより上機嫌だ。

普段、黒い髪留めで髪を後ろに束ねているが、今日は下ろしていた。

黒くて真っ直ぐな髪。

胸の辺りまでのびているだろうか。

つり革に掴まって窓の外を見ている。

その立ち姿だけで絵になる。

趣きなんて言葉を使いたくなるほどの上品さが彼女にはあった。


名古屋駅に着くと、地下鉄に乗り換え栄と言う駅に向かう。

栄にはデパートやアパレルブランドのお店が数多く並んでおり、買い物をするにはもってこいの場所。


「お腹すきましたね。何か食べませんか?」

彼女は、駅に着くなりお腹を摩る。

先程までの趣きは何処へやら。

ひとまず私達はお昼ご飯を食べる事にした。


平日にも関わらずこの街は人通りが多い。

しかも、私達の様に制服姿の女子高生の姿も多く見かける。

木を隠すなら森、女子高生を隠すなら制服の群れ。

私達も例に漏れず、女子高生の群れを作る木の一つとなっていた。

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