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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
赤黄色の胸騒ぎ
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赤黄色の胸騒ぎ 28

「柄本どうした?具合でも悪いのか?」

豊田先輩は私の顔を心配そうに見つめる。

豊田先輩だけではない。

3人ともが私の顔を見ている。

気付けば映像が終わっていた。


「いえ。体調は悪くないです!ただ、少し考え事をしてて」

少し考え過ぎていたかもしれない。

体調の悪そうな顔色をしているという事はきっとそうなのだろう。

先輩達にはそれ以上何も言わなかった。


正直なところ、この事を先輩に話してもあまり意味がない様な気がしている。

言葉で話しても想像しにくいし、変なプレッシャーをかけるのも悪い。

それに、自分で気付かなくてはこの先どこかで挫折する事になる。

心苦しいが、本戦に行くには絶対に必要になる力。

心を鬼にしなくては。


と、言っている私も全く自信がない。

バンドでの経験が浅い上に、演奏技術は並以下。

まずは自分自身の能力の底上げが必要なのだ。


こうして、私は楽器の練習に打ち込む事となった。

3次選考まで残り2週間。

毎日の様に楽器屋「RACK」のスタジオに篭っていた。

先輩たちに少しでも気を遣わせないために。

先輩達の心配をするのはそれからだ。


「もうすぐ3者面談の時期ですね」

お昼休み、いつもの教室でお弁当を食べていると小高さんが話しかけてくる。


「3者面談?ああ、そういえばもうすぐだね!」

3者面談とは、教師と生徒、そして生徒の両親がその学期の総評、今後の進路について話し合う場だ。


「3者面談の間は午前中しか授業がないのでしばらくは会えそうにないですね」

彼女は寂しそうな顔をする。


3者面談が終われば数日後には夏休み。

演奏会の時はさておき、今の所一緒にお昼ご飯を食べるだけの関係の彼女。

昼休みがなければ会う機会がなくなってしまうのだ。


思えば、ここ数日は勉強と練習の繰り返し。

いや、この学校に来てからほぼ毎日がその繰り返し。

私の思い描いた普通の女子高生の生活とは程遠い。


「せっかく午前中で授業終わるし、買い物に行きたいな。小高さん一緒に行かない?」

それを聞いた彼女は目を丸くしていた。

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