赤黄色の胸騒ぎ 26
小高さんをなんとか宥め教室を出る。
渡り廊下を歩いている彼女の目は真っ赤。
自分の教室に戻った時、心配されていないだろうか。
私はいつも不安になる。
「いつでもいいからさ!小高さんおすすめのクラッシックのCD貸してよ!私聴いて見たい!」
彼女との別れ際、その背中に向かって言葉を投げかける。
振り向いた彼女は、少し驚いた顔をしていた。
「はい!明日持ってきます!」
いつでもいいからと言ったのに、相変わらず律儀だ。
でも、それが彼女らしい。
笑顔で手を振る彼女の顔はとても可愛らしかった。
放課後、季節は夏に近づき日がまだ日光が私を刺す。
自転車を漕ぐだけで汗をかく。
そんな中、私は飽きもせず楽器屋「RACK」にいた。
「あちー!外暑過ぎるだろ」
豊田先輩は項垂れながら、制服のズボンの裾を捲る。
他の先輩達も持参したうちわで自らを扇ぐ。
店内はエアコンが効いているのだが、中々身体の熱が冷めてくれない。
私達が今日集まっているのはもちろん3次選考について話し合うためだ。
3次選考の仕様はライブハウスでの生演奏。
これだけ聞いたら2次選考と変わらない。
何が違うかと言うと観客がいると言う点だ。
前回は審査員に向けて演奏をしたが、今度は一般のお客さんに向けて演奏をする事になっている。
審査もその会場にいた観客の投票で決まる。
だけではない。
なんと、戦楽フェスの公式ホームページにて3次選考に出場するバンドの曲が配信されるのだ。
簡単なプロフィールも同時に掲載される。
これが、直接的に審査の対象になる訳ではない。
だが、会場に来る観客が事前に曲を聴いて自分達に興味を持って貰えれば大きなアドバンテージとなる。
そんな事を知った時とても嬉しかった。
デモCD音源とは言え、世の中に私達の曲を発信する事が出来たからだ。
どれだけの人が聴いてくれるのかは分からないが、自分達の曲を聴いて少しでも何かを感じて貰えればとても嬉しい。
それだけでも、少しだけ歩みを進められたなと思う。




