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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
赤黄色の胸騒ぎ
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赤黄色の胸騒ぎ 25

「あ、そういえば小高さんに影響されてこんなCD買っちゃった!」

時間は小高さんとお昼を食べている教室に戻る。

私はトートバッグから1枚のCDを取り出す。


「え⁉︎この楽団のCD!私の好きな楽団の演奏じゃないですか!」

CDを見せた瞬間彼女は勢いよく立ち上がる。

偶然手に取っただけだったが、彼女のお気に入りを引き当てたらしい。


「ずっと探してたんですけど、見つからなくて。日本ではそんなに出回ってないみたいで…」

どうやら私は掘り出し物を見つけた様だ。

そういえば、確かに中古CDにしてはやけに高かった。

彼女は私のCDを羨ましそうに見ている。


「そんなに欲しいならあげるよ!私はパソコンにデータ入ってるし」

私は彼女にCDを渡す。

すると彼女は目を真っ赤にし、涙を流し始めた。


「え?嫌だった⁉︎」

慌てて彼女の元に駆け寄る。


「違います!ずっとファンだった人とお昼ご飯を食べられるだけでも嬉しいのに、ずっと探してたCDまで頂けると言ってもらえて」

彼女の頬を涙が雨に打たれたくらいのスピードで落ちて行く。


「この前も演奏会も来てもらえて、晩御飯まで奢っていてしまって。私、柄本さんに何も返すことができないのが不甲斐なくて」

私は、泣き噦る彼女の背中をそっと摩る。

背中をさすっていると懐かしい感覚湧いて来ていた。


“ピヨちゃん。いつもダンスを教えてもらってばっかでごめんね”


“気にしないでよ!私も自分の振りつけの確認にもなってるし”


“みんな私の事を気にかけてくれてる。なのに、自分自身は何一つ16区ナゴヤに貢献出来てない。それが、分かってるから自分が不甲斐ないの”


小高さんの背中を見ながらあの人の事を思い出す。

まだ中学生だった私達。

あの人だけじゃない。

いつもどちらかが悔し涙を流していた。

毎日背中を見ながら踊る日々。

あの頃にはもう居残り姉妹と呼ばれ、メンバー達が帰った後も目を真っ赤して踊っていた。


“似てるのかもな。私も、あの人も、小高さんも”

気づいたら目を真っ赤にしている彼女に親近感を覚えていた。

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