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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
赤黄色の胸騒ぎ
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赤黄色の胸騒ぎ 22

「じゃあ開けるぞ」

今岡先輩は意を決した様にレターカッターを掴む。

封筒に切り込みを入れたその手は私と同じ様に震えていた。


封を開け中に入っている書類を手に取る。

息をゆっくりと吐き、一気にテーブルの上に置く。

私達は一斉にA4の紙に書かれた文字を追う。


「3次選考の案内」

厳正なる審査の結果、あなた方が3次選考に進む事を認めます。

つきましては、3次選考の詳しい場所と内容を書いた書類を同封致しますので読んでいただきます様お願い申し上げます。


文字を読んでいる間、それは静かでゆっくりとした時間だった。

でも、とても密度の濃い短い時間。

読み進めて行く程感じる鼓動と熱。

全て読み終わった私達の熱は身体に収まりきらず爆発する。


「「ゃったー!!!」」

朝っぱらから人の家のリビングで思いっきり叫ぶ。

理性が働くより先に反射的に感情が動く。

迷惑と分かっていても、爆発した熱はこうでもない限り発散できない。

私達は立ち上がり、思いっきりハイタッチをした。


一通り発散すると今度は安堵の波が押し寄せてくる。

何かから解放された様な感覚。

自然と笑みが溢れてくる。

そして、ようやく理性が追いついてきた。


「あ、騒いでしまってすみません」

慌ててリビングに降りてきたであろう顔をした今岡先輩のお母さんに気付いた私達。

でも、笑みを抑えることが出来ない。

失礼だとは分かっていても、顔がにやけてしまう。


「喜ぶのはいいけど、もう少し静かにね」

そう言って先輩のお母さんはキッチンに向かった。

その姿を見送った私達は顔を見合わせガッツポーズをする。

やはり、先輩の家で書類を開封して良かった。

昨日我慢した甲斐があったなと先輩達を見ながら思う。


「あ、萌さん!お久しぶりです!」

スポーツウェアを着た今岡先輩の妹、知美ちゃんが大きなカバンを抱えリビングにやってくる。


私はそれ見て慌てて握ったままだった手を開く。

手に血が通う感覚がする。

強い力で握り込み過ぎていたのか、手のひらは真っ白になっていた。

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