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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
赤黄色の胸騒ぎ
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赤黄色の胸騒ぎ 21

「また萌宛に手紙届いてたよ」

自宅に帰った私に母が言う。

気持ちが高ぶったままの私は、その言葉をさり気なく流し部屋に戻る。

伊達メガネを外し自分のベッドに飛び込む。

服もまだ着替えていないし、髪の毛もセットしたまま。

足をバタバタさせ、仰向けに寝返りを打つ。

その姿はまさに、格好だけ背伸びした子供だ。


少し気持ちが落ち着いた所で机の上に置いてある封筒に気づく。

それは見覚えのある封筒だった。

私は慌ててベッドから起き上がり封筒を手に取る。


宛名を見た私の鼓動は一気に速くなる。

間違いない。

宛名は某有名テレビ局。

自分の机からレターカッターを取り出す。

それを持つ手は震えていた。


封を開けようとした所で手を止める。

そして、カバンからスマートフォンを取り出し電話をかけた。


次の日、朝早くから今岡先輩の家にバンドメンバーが全員集まっていた。

リビングに置かれている机を囲み各々が座っている。

なぜ今岡先輩の家かというと楽器屋「RACK」の開店時間を待てなかったからだ。


私は封筒を開けるのを中断した後、今岡先輩に電話をかけた。

訳を話したらすぐに他の先輩達に連絡をしてくれたのだ。

そこからは早かった。

10分もしない内に今岡先輩の家に集まるする事が決まったのだ。

先輩達も居ても立っても居られなかったのだろう。

急に連絡したにも関わらず、快くリビングを解放してくれた今岡先輩の家族に感謝しかない。


テーブルには昨日私の元に届いた封筒とレターカッター。

本当は昨日の内に開けようと思った。

早く結果が知りたかったから。

現に昨晩は感情が高ぶったままになり、全然眠れなかった。

でも、開けなかったのは先輩達と一緒に結果を受け止めたかったからだ。


封筒の先端にレターカッターを当てた時、ふと先輩達の顔が浮かんだ。

2次選考の時の悔しい思いをした時の顔が。

だから、選考に通過していても、落選していても一緒に結果を見ようと決めた。

どちらに転んでもその感情を共有したい。

そう思ったのだ。

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