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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
赤黄色の胸騒ぎ
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赤黄色の胸騒ぎ 18

「食事は時として会話を盛り上げるスパイスになる」

と、共演していた俳優の方が言っていた。

あの時はデート特集だった為か、なんて気取ったことを言っているのだろうと思っていたがデート以外でも使える処世術なんだなと今になって思う。


むしろ、美味しい料理を食べながら今日の演奏会の感想を伝え合っている私達は気取っていると言われても何も言い返せない。

普通、高校生ならこういう時はファミレスに行くものだからだ。

でも、今日くらいは少し背伸びしても許してほしい。

かかとの高いパンプスと伊達メガネでオーケストラを聴きにいく機会なんてそんなにないのだから。


誰に言い訳をしているのかいつも思う。

だけど、その答えはいつも後回し。

代わりにエリンギに舌鼓をうつ。


「小高さんはいつからあのオーケストラに在籍してるの?」

ナポリタンをフォークに巻きつけながら聞く。


「高校生になってからです!演奏の幅を広げる為にオーケストラに在籍してます!」


「演奏の幅を広げるため?なら、オーケストラが専門じゃないんだ?」

聞けば、オーケストラの団員たちには皆それぞれの楽器でコンクールに出るのだそうだ。

彼女自身もトランペット奏者のコンクールに出場し、賞を取る事を目標にしている。

その為、大人の中で演奏技術を磨いているらしい。


学校の吹奏楽しか知らない私はオーケストラのコンクールが有るのだと思っていた。

あんなに素晴らしい演奏をするオーケストラなのに、団員たちには個の活動をメインとしている。

逆に言えば、個の集まりがあれだけ一つにまとまるのだから1人1人の対応する技術が高いのだろう。


食事を終え会話もひと段落いた頃、シェフのおじさんはデザートを出してくれた。


「いつもすいません」

私はお礼を言って目の前に出されたお皿を見る。

それは、試作品でメニューには載っていないデザート。

いつも試食させてもらっている。

感想を聞きたいとの事だがおじさんの好意には変わりない。


今日のデザートは梨を使ったムース。

この店ではその季節の旬の果物を使ったデザートを提供している。

もうすぐ夏という事で今回は梨を選んだ様だ。

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