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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
赤黄色の胸騒ぎ
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赤黄色の胸騒ぎ 14

これがオーケストラなんだと衝撃を受けた。

歌詞がない曲を音だけで表現する。

こういった音楽がある。

知っているようで理解は出来ていなかった。

その事を強く感じる。

まだ理解するには自分の感性が足りない事も痛感せざるを得ない。

私が理解できたのは果物で言えば皮の部分。

中心にある甘美な部分にはまだ程遠いのだろう。


この中に確かに彼女はいた。

真っ黒なドレスに身を包んだ彼女はとても綺麗で大人の女性と見間違うほど。

このオーケストラは金管奏者の数はあまり多くない。

だけど、彼女は堂々とトランペットを吹き上げる。


このトランペットを吹き上げる女性が小高加奈子と認識するまでにはかなりの時間を要した。

私の中の小高加奈子はまだ泣き虫な女の子というイメージ。

こんなに堂々としている彼女を想像していなかったからだ。


「凛としている」

私が彼女から感じたそれは、こういう一面を持っているからなのだろう。

コンサートホール響く彼女の音色がそれを象徴していた。


気づいたら私はオーケストラが奏でる音に、夢中になっていた。

彼女の音だけじゃない。

すでに、全体のハーモニーに身体を預け始めている。


伝わってくる。

私はクラッシックに精通していない。

でも、音楽に携わって来たから分かる。

アイドルのやっている事なんて、おままごとだと言われるかもしれない。

だけど、真剣に音楽に付き合って来たから分かる。


この人達が演奏で伝えたい事。

その事だけは間違いなく伝わってくる。


拍手だけが歓声の世界。

コールなどがある私達と違い演奏を聴いている間、観客席は静かだ。

だけど、観客の熱量は確かにある。

それは演奏が終わった瞬間、拍手という目に見える形で一気に放出される。


胸が熱くなる。

私も無意識の内に拍手をしていた。

それが、最大の敬意だと自然に理解したから。


私もこんなに敬意を込めた声援を送られる様な音楽ができる様になりたい。

久しぶりに着たワンピースの裾を握り込みスポットライトの当たるステージを見つめるのだった。

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