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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
赤黄色の胸騒ぎ
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赤黄色の胸騒ぎ 13

彼女にあってから1週間たった最初の土曜日、私は名古屋に足を運んでいた。

久しぶりにしっかりと化粧をして歩く駅前。

夜ということもあって、ビルには明かりがつき大人な雰囲気。

選考の際に駅を使った時とは、違う景色に見える。

普通の女子高生になった私だが、今日は少しかかとの高いパンプスと伊達メガネ。

少しだけ背伸びをしていた。


「私、トランペット奏者なんです!今度私の所属するオーケストラの演奏聴きにきませんか?」

少し沈黙が流れた後、彼女はそう言った。

小高さんはどうやら高校の吹奏楽部ではなく、成人のオーケストラに所属しているとの事だ。

小さな頃から指導してもらっている先生の紹介らしい。


どこまで彼女は才能溢れているのだろう。

というか、そこまでの才能の持ち主が何故普通の高校にいるのか。

不思議だ。


そんな彼女の招待で所属しているオーケストラの演奏会を聴きに行くこととなった。

オーケストラを聴く機会なんて普通に暮らしていたら滅多にない事。

貴重な機会を与えてもらった事に感謝していた。


ヘッドホンをして歩く名古屋。

オーケストラを観に行くという事の勝手が分からない私は少し緊張していた。

相変わらず私はラジオを聴いている。

少しでも普段と同じ環境を作り出す為だ。


会場に着くとそこは大人な世界。

ヘッドホンで深夜ラジオを聴いている人間など、おそらくいないであろう場所。

私はそっとアプリを閉じ、ヘッドホンをカバンにしまう。


会場にいる観客達を見ると服装も様々。

もっと厳格な場所だと思っていた私は少し安心する。

だけど、周りを見渡しても大人ばかり。

いつもより背伸びしてきてよかった。


“こんな中で小高さんは演奏するんだ”

私がやってきたコンサートとは全く違う雰囲気。

照明が落とされ観客席は静寂に包まれる。

スポットライトに照らされるステージに演奏者たちが楽器を持って現れる。

それは、静かに、ただ静かに行われていく。


指揮者が現れ、観客席に一礼。

観客からは拍手が起きる。

作法が分からない私は周りに習い、同じ様に拍手をする。

私はまだ、彼女を見つけられずにいた。

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