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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
赤黄色の胸騒ぎ
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赤黄色の胸騒ぎ 8

私は改めて自分の名前を確認した。

13位の所には柄本萌という名前が書いてある。

何度見てもその事実は変わらない。

さらに、英語Ⅱは学年1位と備考欄に添えられていた。


私は一先ず胸をなでおろす。

正直、答案が続々と返ってくる中、点数をみて少し期待をしていた。

もちろん思ったよりも点数が低く落ち込んだ教科もあったが、期待を超える点数の教科もあったからだ。


テストが返ってくるまではあれだけ憂鬱だったのに、すっかり豊田先輩の姿は頭から消えている。

やっぱりポジティブとネガティブのバランスは難しい。

悪い点数を取った時の想定はしていたが、良い点数を取った時の想定はしていなかった。

少し自分を追い込み過ぎていたかもしれない。


とにかく、結果が出てよかった。

初めて受けるテストとしては上出来だろう。

相変わらず都合のいい自分が現れる。


中でも英語Ⅱは力を入れていた為、この結果は嬉しい限りだ。

アイドル時代、地元テレビ局で英語を勉強する番組に出させてもらっていた。

その番組に出るにあたり、よくあの人と一緒にみっちり勉強して収録に備えていた。

中学生の頃から仕事として接してきた英語。

まさかこんな所で番組の出演が役に立つなんて思わなかった。

私をキャスティングしてくれたテレビ局のプロデューサーに感謝しかない。


今思えば、別の教科にその力を割いていれば他の教科の点数もよくなっていたかもしれない。

それくらい英語は勉強した。

学校の登下校中すら、リスニングの音源を聴いていたくらいだ。

こうして結果が出た今、その事は少し反省している。


それにしても、一位の子は成績に反映される9教科中5教科で1位を取っている。

自分で言うのは恥ずかしいが、この高校は岐阜県では上位に入る進学校。

決して周りの学力が低い訳ではない。

その中で半数以上学年1位をとっているのだから子は本当に頭のいい子なのだろう。


そんな事を考えていたら後ろから私の名前を呼ぶ声がする。


「あなたが柄本萌さんですよね?」

この学校にきて私は初めて名前を呼ばれた。

金木犀の香りと共に。

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