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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
赤黄色の胸騒ぎ
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赤黄色の胸騒ぎ 6

人は時として色を失う。

それは、挫折を味わった時、絶望に打ちひしがれた時、夢を失った時、そして味わった事のない恐怖を感じた時。

ここにいる豊田樹は色を失い、何の目的もなく外を見つめている。


人はこれをデジャブと言ったりする。

豊田先輩はこの前と同じ様に虚ろな目をしてこの前と同じ場所に座っていた。


「もしかして、私が怒った事まだ引き続ってるんですか?」

豊田先輩の姿をこの前と同じ様に優しい目で見守る今岡先輩達に尋ねる。


「安心していいぞ。樹はそんな事を引きずる様な奴じゃないから」

私はじゃあなんでという言葉を飲み込む。

とりあえず、私が原因でない事が分かれば充分だ。

だが、こういう姿を見るとテストの結果を待つ身としては気が気ではない。

明日は我が身かもしれないのだから。


「先輩達は大丈夫だったんですか?」

豊田先輩の心配をしている心の余裕があるから大丈夫だとは思っての質問。

せめて、いい話を聞いてテストの結果を待ちたいのだ。


「ぼちぼち。思ったよりマシだったかな」


「俺も今岡と似た様な点数だよ。平均点より少し上ってところ」

2人共悪くはなかった様だ。

よく考えたら横井先輩は図書館で勉強していたみたいだし納得できる。

逆に勉強に身が入らない状態で平均点を超えている今岡先輩。

なんだか豊田先輩がいたたまれなくなってくる。


窓の外を眺めている豊田先輩に憂いの目を向ける。

いつもより小さく見える。

元々大きい訳ではないのだがより一層小さく背中には悲壮感が漂っている。


「まあ、全然勉強してないから自業自得って言えばそうなんだけどな」

今岡先輩は私に耳打ちする。


背中にはギターケース。

手にはスタジオの鍵を持ってここにやって来た豊田先輩を思い出す。

少しでも同情した自分が恥ずかしい。

じゃあなんでという言葉が再び込み上げてくる。


この言葉をそのまま伝えたらこの後どうなってしまうだろう。

その事を想像し必死に飲み込む。

また、デジャブを見る事になってしまう気がするから。

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