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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
赤黄色の胸騒ぎ
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赤黄色の胸騒ぎ 1

大きなイベントであるこの「戦楽フェスU-18」

大規模であるが故に沢山の人や資金が動く。

その性質上、段取りを自分達の判断で短縮する事は出来ない。

ちゃんとした形式を取ることが様々な人を納得させる事に繋がるのだ。


組織は形式にこだわる。

正直な話、無駄が多いし、正直めんどくさい。

ここにいる人間全員が思っていると思う。

だけど、それを悟られずに動けるのが大人なのだろう。

全国を飛び回って選考をやってきて思った事だ。


そんな会議だが、少し前のめりで映像を観ることもある。


「彼らはこの選考の中でバンドとしての完成度は1番でしたね。多分、ファイナルステージに行っても申し分ないでしょう」


「ボーカルの声もいい。これは、期待できますね」

バンド名は「fishing is good」

審査員やスタッフも興奮しているのか口数が多い。

正直、俺が観てきた中では名古屋選考会だけでなく他の選考会も合わせた中でも3本の指に入る実力だ。


「彼らは数々のコンクール優勝してるみたいですし、実力も経験も高校生離れしてますよ」

俺も人の事は言えない。

さっきから興奮している。

面倒臭い段取りをやっているのはこの様な若い才能を発掘する為だ。

若い才能と出会うことが出来るのは面白い。

それが好きで俺はスカウトの仕事をやっているのだ。


彼らからは若い才能の匂いがする。

この会議が終わったら会社に報告しよう。

そう思い彼らのプロフィールが書かれた紙にメモをする。


彼らの演奏が終わり演奏が切り替わる。

あのバンドに興奮して、話し合いが長くなってしまった。

また、会議の時間が押してしまう。

今日はこの後、東京に戻らなくてはならない。

出来れば時間通りに終わりたいのだ。


時計を気にしながら、次のバンドの演奏を聴く。

そう言えば、このバンドの演奏も印象に残っている。

確か編成は4ピースで、ベースの子が女の子だったはずだ。

映像を観るとその記憶が間違いじゃないと分かり少し姿勢を正す。


バンド名はなんだったか。

そう思い、このバンドのプロフィールに目を落とすのだった。

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