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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
ありがちを叫びたい
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ありがちを叫びたい 44

どれ位時間が経っただろうか。

外を見てもまだ明るい。

暗くなる時間が遅いせいか身体の時間の感覚がズレている様だ。

全く時間が分からない。

時計を見れば良いのだが、その答えに行き着くまでに随分回り道をしていた。


その答えにたどり着き時計を見ると、時刻は7時に近づいている。

どうやら相当集中していたらしい。

勉強を始めてから2時間が経っていた。


身体が塊になりつつあると感じた私は立ち上がり伸びをする。

すると伸ばした所から順番に骨達が音を奏で始めた。

元の場所に嵌っていく。

骨達はその喜びを表現しているのだろう。


凝り固まった首を回していると、地下スタジオに繋がる隠し扉が開いている事に気付く。

誰がいるのだろうか。

勉強に集中していたせいか全然気付かなかった。


よく耳を澄ましてみると楽器の音がする。

どうやら誰かがスタジオで練習しているみたいだ。

休憩も兼ねて興味本位で扉に近づく。


“あれ?このギターの音って今岡先輩の音”

私は引き寄せられる様に地下スタジオに降りていく。

スタジオから差し込む光が近づくにつれ、ギターの音が大きなっていく。

聞こえてくる音は紛れもなく先輩のギターの音。


スタジオの扉の小窓からスタジオを覗く。

ギターを弾いているのはやはり今岡先輩。

1人で黙々とギターの練習をしている。

弾いている曲は自分達の曲じゃない。

だけど、私も知っている曲。

中古CDを扱うお店で再開したあの時、先輩が手に持っていたバンドの曲。

そういえば、先輩はこのバンドが好きだと言っていた。


扉にもたれかかり先輩の演奏を聴く。

スタジオに入ると私も楽器を演奏したくなってしまいそうだし、今岡先輩の自由な時間を邪魔するのも悪い。

扉越しに聞こえてくる先輩の演奏は、いつもと違い伸び伸びとしている。

しかも、私がヘッドホンで聞いてきたギターの音よりも今岡先輩を感じれて面白い。

ちゃんと曲を読み込んだ上でのアレンジなのだろう。


先輩の演奏を聞いているとベースを弾きたくなってくる。

気付いたら絆創膏だらけの手を無意識に動かしていた。

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