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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
ありがちを叫びたい
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ありがちを叫びたい 23

それからは、ほぼ毎日スタジオに篭っていた。

俺と柄本は完全参加、横井と豊田はバイトがない日は全て参加している。

当日披露するのは「あきっぽい彼女」

だが、以外の曲も念の為練習していた。


毎日が学校とスタジオの往復。

柄本にとっては変わらないルーティンだが、残りの3人には初めての経験。

しかも、二次選考が終わる頃には、定期テストが始まる。

勉強との両立を余儀なくされていた。


教室にいる今岡も例に漏れず、机に向かっていた。

真剣な眼差しでノートに文字を書き込む。

だが、明らかに様子がおかしい。

黒板を一切見ない。

だが、手は黙々と動いている。

たまに手を止めては、窓の外を見る。

先生の顔も手の動きも一切見ていない。

ただひたすらノートと向き合ったままだ。


そんな1週間はあっさりと過ぎる。

やる事があると案外時間はあっという間に過ぎていく。

そして、やらなくてはならないことが山積みになっていく。

その事を思い知った俺も横井も豊田もぐったりと机に突っ伏していた。


「あー…時間足りなくねー」

豊田が嘆く。


「間違いない。勉強もあるし、ドラムは練習しないと不安だしな」

横井も嘆く。


「1日が48時間にならないかなってマジで今思ってる」

嘆きの三重奏。

使い込まれた机に突っ伏すその姿はまさにトライアングルだ。


柄本は練習が終わると毎日掃除をしている様だ。

俺達も手伝うべきなのだろうが、その気力が湧いてこない。

あいつの体力は無尽蔵なのだろうか。


「あー腹減った」

自分の身体が空腹を訴えて来る。

頭を少し使っただけで腹が減ってしまう。


「帰りコンビニ寄ろうぜ」

豊田の身体も空腹を訴えている様だ。

しかし、コンビニに寄る気力が湧かない。

一歩も動きたくないのだ。


「あれ?先輩達まだいたんですか?」

何をする気も起きず、ぐったりしていると掃除を終えた柄本が階段を登ってきていた。

柄本が戻ってきたという事は、少なくとも15分以上はこうやっているという事だ。


“少しだらけ過ぎた”

罪悪感を覚え身体に力を入れて立ち上がる。

だが、それと同時に身体が空腹で根を上げた。

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