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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
卒業のあと
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卒業のあと 11

2週間後、私は名古屋の小さなライブハウスにいた。

今岡先輩のバンドの演奏を聴くためだ。

それまでは比較的忙しかったが、奇跡的に夕方のスケジュールが空いていたという偶然も重なったのもある。


今回のライブは、沢山のバンドが2曲づつ披露するという方式。

登場するバンドは年齢もスタイルもバラバラ。

どうやら、ライブハウスのオーナー主催する定期イベントらしい。


小さなライブハウスとはいえお客さんは結構入っていた。

バンドもバラバラなら客層も、バラバラ。

こういった箱と呼ばれる場所に来たのは初めてで少し緊張する。

ちょっと大人なマイナーな空間に少し浮いている感じがするのだ。


会場の明かりが消えライブが始まる。

ライブ会場はそこまで明るくないためスポットライトがよく映える。

バンドが出てくるとお客さんの視線は一斉にステージに集まり、会場は静寂に包まれる。

そして、ボーカルの第一声と共に会場は一気に熱気を帯び始め歓声が飛ぶ。


ライブを観るのは初めてではない。

初めて見たのは確かアイドルのコンサートだ。

それとは、明らかに雰囲気が違う。

場所が違うとかではなく、音が直で聞こえて来る。

同じ音なのに違う気がするのだ。


アイドルが踊りや表情でパフォーマンスする様に、バンドは奏でる音でパフォーマンスをする。


次々にバンドが曲を披露していく。

表現の仕方も様々。

音の雑さも、リズムの走りも全部が直で聞こえてくる。

だからこそ、熱さも気持ちも直で伝わる。

どの様に私達に届けたいかはバンド次第なのだと感じていた。

同時に私達の受け取り方も様々なんだなと周りを見て思う。


“客観的に見なさい。外からどう見えるかを考えてやりなさい。”

と言われた意味が少しだが分かる気がしている。


“私は周りからどう見えているのだろう。”

ステージにいる自分を思い浮かべる。

自分が何を伝えられているか、どう映っているのかは自分では分からない。

このライブハウスより広いステージで私は観客の目にどの様に映っているのだろうか。


周りが盛り上がる中私は、少し冷静になっていた。

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