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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
ありがちを叫びたい
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ありがちを叫びたい 10

何だかスッキリしない。

それは私だけではない様だ。

傘を手に帰る道すがら、街も人も下を向いている。

空を見上げて見ても薄暗い雲が覆っているだけ。

足元の水溜りを気にした方がよっぽど身の為になるということなのだろう。


元気なのは小さな子供たち。

雨に濡れるのも気にせず走り回っている。

カラフルな傘を振り回し私の隣をすれ違う。


“こういう日は何もせずに家でじっとしていよう”

私はそう決めた。

雨の匂いが抜けない日は何をしても上手くいかない。

大体そういうものなのだ。


家に帰るとスパイスの香りが家に広がっている。

いや、この場合は蔓延しているという言い方の方がいい。

玄関にまで迫る香りに圧倒されそうだ。


「おかえり!今日はカレーだから」

私に気づき母はカレーをかき混ぜる手を止める。

これだけ部屋の隅々まで匂うのだから、カレーだと言われなくてもわかる。


「今日はどこにも行かないんでしょ?」

流石母の勘は鋭い。

私の思考などお見通しだ。

今日は一緒にご飯を食べる事を伝え部屋に戻る。


部屋にはベースが置かれている。

店長に弦を張り直してもらってもらい、我が家に戻って来ていた。

戻って来てからも少し弾いたが、新しい音になっている。

チューニングを合わせるのが少し難しいが、新しくなった弦の感覚も嫌いじゃない。


ブレザーを脱ぎハンガーにかける。

心なしか湿っており雨の匂いがする。

それを掻き消す為消臭剤をかけるが、ほんのり香るスパイスと相まって鼻がおかしくなりそうだ。

気を取り直し部屋着に着替えていると、テーブルの上に私宛ての封筒が置かれていた。

私宛ての荷物は私の部屋に置いてくれる。

これは母の気遣いだ。


封筒を手に取ると意外と分厚い。

送り主を見た時、私の身体に電流が走る。

送り主は某有名テレビ局。

名前を見るだけでも背筋が伸びる。


テレビ局に送った懸賞が当たったのだろうか?

でも、私は何も応募していない。

もしかしたら詐欺だろうか?

はたまた映像使用の許可取り?

様々な思考が頭を駆け巡る。


とにかく、封筒を開けてみることにする。

文章を読み進めていくと、答えはそのどれでもなかった。

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