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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
ありがちを叫びたい
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ありがちを叫びたい 9

一人の教室。

外は雨が降っている。

だが、雨の音は聞こえない。

代わりにラジオの音が流れる。

気づいたら私はブレザーを脱ぎ腕まくりをしている。

湿気のせいか蒸し暑い。


梅雨に入ってしまった。

あんなに心地よかった風は水滴と共にガラスに遮られ虚しく跳ね返る。


雨が降ると屋根のない渡り廊下は使えない。

一回一番下の階まで降りて玄関前を通り、また階段を上がる。

1階から4階まで登るのは意外に辛く、登り切る頃には息切れをしてしまう。

目的なく登る階段はただ疲れるだけ。

階段を登りきった時ふとそう思った。


昼休みが終わり一人の教室を後にする。

また元来た道を戻るが、一番下まで降りなくてはならない分、いつもより時間がかかる。

正直めんどくさい。


結局教室に戻ったのは授業の始まる直前。

それを加味し、明日からは少し早く教室を出ようと誓った。


“雨じゃなきゃな”

これがしばらく続くと思うと頭が痛い。

このままだと雨が嫌いになりそうだ。

窓の外を眺め天気を恨む。

束ねられたカーテンも心なしかご機嫌斜めだ。


今日の授業は長く感じる。

先生の声が鮮明に耳に入ってくるからだろうか。

音が少ない。

先週までは色々な所から音がしていた。

だが、その全てを雨が吸い取ってしまう。

まるで、レッスンスタジオにいるような静かな教室。

先生の声が響く訳だ。


雨音が勢いを増す。


“これは止みそうにないな”

ため息を吐きたいが、この教室に響いてしまいそうで飲み込む。

ため息を飲み込むのは何回目だろう。

このまま風船みたいに膨らんで教室を漂いたい。

もしそうなったら、南校舎に行くのも楽なのに。

そんなバカな事を考えていれば授業が早く終わるのではないか。

そう思ったが時計の針は一向に進んでくれない。


私の頭の中は窓の外の様に淀んでいた。

まるで時差ボケしている様だ。

一層雨にうたれてスッキリした方が良いのかもしれない。

全部を洗い流して欲しい。

私は再び窓の外を見た。

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