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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
卒業のあと
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卒業のあと 10

先輩達と話をしている間に、電車が目的地に着く。

話していたら時間もあっと言う間だ。

着いた頃には車両に殆ど人は乗っていなかった。


「じゃあ!俺たちはこっちだから!」

四人のうち二人は乗り換えのため別の車両に向かう。


「じゃあな!」

今岡、豊田は手を振って見送る。

二人と別れ、私達三人は改札を出て駅前を歩く。

名古屋と違い人通りが少ない。


「本当に大丈夫ですから!申し訳ないですし。」

先輩二人は、私を送ると言って聞かない。

いくら同じ方向とはいえ、遠回りになるし、ましてや先輩だ。

しかも私は徒歩だが、先輩達は自転車。

だが、先輩達の意思は固く結局送ってもらう事になった。


「こんな可愛い子が同じ中学校にいるなんて気づかなかったな!」

チャラさが垣間見える。

豊田先輩はいとも簡単にこんなことを言えてしまうのだ。

とはいえ、可愛いと言われて悪い気はしない。

しばらく会話は、豊田先輩の独壇場になっていた。


「背中に背負ってるのってギターですか?」

会話がひと段落し、私はずっと気になっていた事を聞く。

自転車を押し歩く二人とも黒い大きなケースをずっと背負っている。


「そうだよ!俺たちバンドやってるんだ!まだまだ下手だけどな。」

そう言うと今岡先輩は恥ずかしそうに頭をかく。

話によるとさっきまでいた二人も合わせ四人でバンドを組んでいるらしく、今日はライブハウスでライブをしていたらしい。


「今度またやるからさ!見に来てよ!」

相変わらずチャラい豊田先輩。

でも、私は少し興味が湧いてきていた。

先輩達のやる音楽がどんな感じなのか。

どんな音を出すのか。


興味あったらと渡されたチラシをもらう。

日程などが詳しく書いてある。

“あとでスケジュール確認しよう”

私も一応多忙な身、空いてたら位の軽い気持ちだった。


この後しっかりと家まで送ってもらい家路に着いた。

深々とお辞儀をし先輩達を見送る。

黒いギターケースが仲良く夜に溶けていった。

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