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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
ありがちを叫びたい
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ありがちを叫びたい 1

私は人見知りではないと自分では思っている。

だけど、前にいた学校は中高一貫の学校でクラスメイトは持ち上がりで、ほぼ変わることはなかった。

だから、私は高校入学の最初にして重大なイベント「友達作り」を経験していない。

ましてや、5月というクラスの組織図が出来上がりつつある時に転校してきた。

間が悪い私は完全にきっかけを逃してしまっていたのだ。


そんな中で、友達作り記憶喪失の私が友達など作れる訳がない。

だからこの誰も来ないこの教室の主としてラジオライフに勤しんでいるのだった。


このままではよくないとは思いながらも、このままでいいかなと思う自分もいる。

私にも友達がいない訳ではなく、前の学校の子やグループのメンバーとは今でも友達だし、遊んだりもする。

地元という事もあり、小学校の時からの友達もいる。

だから、孤独で寂しさに震えるという事はなく、問題を先延ばしにしているのだ。


“やっぱりこのままではいけないよな”

窓の外には楽しそうにお昼を過ごす同期生達。

強がって見ても羨ましい事は羨ましい。

転校するまでは私も窓の外側の世界にいたのだから。


空になったお弁当箱を片付け教室を出る。

階段を下りながら考える。

そもそも、なぜ4月に転校出来なかったのか。

それに関しては、運営の人間を恨みたいと思う。

でなければ、もう少し悩まずにいられた筈だと。


北校舎と南校舎をつなぐ渡り廊下を歩いているとついつい叫びたくなる。

この高校の渡り廊下には屋根がない。

だから開放的な気持ちになるのだろう。

その気持ちを必死に抑えると、自然と早足になってしまう。


早足で歩く人は、せっかちか世の中に不満を持っている人間だと私は思っている。

もちろん私は後者だ。

イライラするのは肌には良くない。

すっぴんで登校している私は今、いくつに見えるだろう。

名古屋駅ですれ違う早足で歩くOLと同じ顔をしているのだろうか?

このままいったら私は一気に老け込んでしまうのではないだろうかと思わずにはいられない。

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