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また弦を切ったあの子  作者: 角河 和次
ありがちを叫びたい
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ありがちを叫びたい 0

「次回も何卒」

今週もこのパーソナリティの回は相変わらず面白かった。

私は満足して、スマホのラジオアプリを落とす。

ラジオも進化したもので、アプリのタイムフリー機能を使えばいつでもどこの局の番組でも好きな時間に聴けるようになった。

おかげで、こんな昼下がりのひと時にも笑いを届けてくれている。


ラジオがないとお昼ご飯が味気ない。

ブレザーを着た私は1人、他の学生のいる北校舎とは逆の南校舎の奥、誰も使わない教室でご飯を食べている。

この教室は学校の設計ミスなのか、校舎最上階に1つしかない。

階段を上がるとすぐ目の前にあるという不思議な部屋なのだ。


みんなのいる教室で食べてもいいのだが、そもそも一緒に食べる友達はいない。

だけど、一人で黙々と食べるのは少し辛い。

こういう時、世間の私と同じ立場の人はトイレの個室でご飯を食べる便所飯という行動をとるらしいが、流石に不衛生だしトイレにいてもつまらない。

だから誰もこない、日当たりも良い、静かなこの教室で、ラジオをお供にお昼休みを過ごしているのだ。


レコーディングを終え、無事に鳩崎先生にCDを送る事ができた私が今抱えている問題。

それは転校して1ヶ月半になるこの学校で友達ができないということだ。


「柄本萌」としてアイドルをやっていた頃の私は、芸能活動に寛大な学校に通っていた。

だから、タレントや俳優、女優として活動している子もいたし、16区ナゴヤのメンバーも同じ学校に通っていた。

だから、中学生の時に転校した時もメンバーと一緒だった。

芸能活動をする以上、授業に出られない事も普通だったし、周りも当たり前の様に思っていた。

だから、特別視される事もなかったし、同じグループのメンバーや、それ以外の友達もちゃんといた。


いや、そんな過去の事を話してしている場合ではない。

この事を認めたくないが故の、言い訳にしか過ぎない。

そもそも私は友達の作り方を忘れてしまっているのだから。

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