高級車2-余罪-
高級車2余罪
白く派手なだけのフェイクファーの隙間に、これでもかと言う程に詰め込まれたお札やお守りの類。
後部座席には、何を勘違いしたのか京都や奈良で売っているような大仏のお土産に、果ては商売繁盛の笹や熊手までが所狭しと載せてある。
俺はその日、先輩に拉致られて、朝から先輩のレクサスを運転していた。
「先輩。これどこ向かってんですか?」
「うるせーよ! 黙って運転してろよ!」
何だよ! とは言えない弱々な俺……さっきから何言ってもずっと先輩はこんな感じ、正直すっごく面倒くさい。
それに今日の先輩、顔つきが半端なくヤバイ。まるで3日間ぶっ続けでオールした後の俺みたいな顔してる。(昔先輩に理不尽な罰ゲームでやらされた)
しかもとんでも無く不機嫌だ。こんな時の先輩には黙って従うが吉。長年の付き合いで俺にはよく分かってる。
でも俺には一つだけ気になる事が有った。それは、俺が車に乗る時にトランクからちらっと見えてた、スカートの裾みたいな何かの事。
「あの、先輩。トランクなんすけど……」
「あぁ!? てめえも何か見えるとか言うのかよ! いい加減な事言ってっとぶっ殺すぞ!」
ひいぃ……お願い殺さないで…やっぱ聞かなきゃ良かった……俺の好奇心のばか!
「ちっ、しょうがねぇ俺に何が有ったか教えてやんよ」
そう言うと先輩は話し始めた。
あの事件の後、先輩はおんぼろマーチからレクサスに乗り換え、その足でテンションに任せてナンパに行ったらしい。
正直、事件の全容を知ってる人の考える事じゃ無いよな。まぁいいや。
先輩は馬鹿だけど、顔は男前なんだ。結構この事は自他共に認めてる事実で、ナンパの成功率はかなりの物だと自慢された事が有った。
で、その日も先輩の甘い顔とレクサスを武器に、見事ナンパに成功したらしい。
問題はそこからだ。
先輩はその娘とそのまま酒なんか飲んで良い感じになった、でそのまま海岸沿いのホテルでドンジャラをひとしきり楽しんだ後、先輩はその娘を送るため車を走らせてたらしい。
その娘の家は、ある峠を越えて直ぐの所に有るらしいんだけど、その峠に差し掛かった時、トランクの中からいきなり何かが無茶苦茶に暴れるような音がしたらしい。
先輩とその娘は、なんだなんだつって車を降りてトランクを確認すると何にも無い、いや、先輩にとっては何にも見えなかったらしい。
でもその娘はトランクの中見た瞬間絶叫したらしい。んでそのまま、いやーとか、やめてーとか言いながら山の中に走って行っちゃったんだって。
当然先輩は追っかけてったんだけど、山の中でその娘が倒れてたんだって。
んで、その娘の倒れてた場所なんだけど、側には不法投棄っぽいゴミの山が有って、その娘の周りだけ、不自然に土が掘り返された後みたいに色が変わってたらしい。
やめときゃ良いのに、先輩はそこに有ったゴミの山から使えそうな物探して、土を掘り返したんだって。
本当はすぐにでも逃げたかったらしいんだけど、その時はなんかそうしなきゃいけないって思って、どんどん先輩は掘っていった。
じゃあやっぱりと言うか、出来過ぎててマジかって感じなんだけど、骨、出て来たんだって。
んで先輩は恐ろしくなって、その娘の事も骨も全部放って帰って来ちゃったらしい。
先輩最低だよな。流石に俺も引いた。俺がそんな顔をしてると、先輩は「俺だって悪いと思ってるわ!」とか言ってたけど本当かね。
んで先輩が言うには、峠から帰る間中ずっとトランクの中で何か暴れてたんだって。
で、先輩は前の事件の時のやっちゃん兄ちゃんに聞いたら、変態野郎が妹の他に、後二人やったって漏らしてたらしい。
そこで先輩はそのやっちゃん兄ちゃんに今回の事を相談したら、そう言う事専門の人がいるからそこ紹介してくれたんだってさ。
んでその専門家の所に今向かってんだって。
そんな人いるんなら、前回もその人に頼めば良かったのにって俺は思ったよ。それに……
「それって俺いらなく無いっすか?」って俺はたまらず聞いたんだ。
そしたら先輩は、「お前変な女好きだろ。いざとなったら全部お前にやるよ。」
だってさ。先輩は冗談ぽく笑ってたけど、そんな病人みたいな顔で笑われても不気味なだけですよ。てか、笑えないっす……。
それから車で走ること数時間、何処をどう走ったか先輩の言うままに車を走らせると、俺達は小さな家に着いた。
そこには、砂利道にロープだけ貼って有る駐車場が有って、俺達以外の客はいないみたいだった。
其処は俺が想像してたような物々しい感じは無くて、どちらかと言うと普通のボロっちい家だった……正直俺は大丈夫? って思ったよ。
「先輩、ここって?」
「おぉ。ここはな……」先輩の話によると、ここには凄く霊について詳しい人がいて、お祓いみたいな事もしているんだそうだ。
俺達は玄関脇に有るチャイムのボタンを押した。
暫くすると、ガラス張りの引き戸の向こうで人の動く気配がして、中から初老のおっちゃんが現れた。
おっちゃんの見た目はこの人大丈夫? って位やつれてて、他人の事よりまず自分の事どうにかしろよって思ったね。
俺達はおっちゃんに事情を説明すると、中に入れって言われた。
中に入って俺はさらに不安になった。だって其処は本当に普通の家なんだ。て言うか普通以下?
辺りにはコンビニ弁当の食べカスや洗濯物の山、おっちゃんもどう見ても凄い人には見えない。
俺は先輩に小声で大丈夫ですかねって聞いた。先輩は苦い顔をしてわかんねって言った。
おっちゃんは、ぼろっちぃソファの上の洗濯物を床に払い落とすと、俺達に座れって言って、おっちゃんは俺たちの向かいの椅子に座った。
一応、応接間だったらしい。
んで、おもむろにテレビを付けると、野球中継を見始めた。
んん? どう言う事? 横を見ると先輩かなりイラついてる。
そりゃそうだよな……。
「おい! おっさん! 話聞けよ!」
いきなり先輩はおっちゃんに怒鳴りつけた。
「うるさい。分かっとるわ。今大事な所なんじゃ、だぁっとれ。話なんか聞いても、どうせやるこたぁおんなじなんじゃ。」
おっちゃんは、見た目からは想像つかないほど鋭い声で俺達に言うと、それからたっぷり一時間は野球中継を見てた。
先輩はかなりイラついてるのか、煙草を吸いながら俺の事をなじってくる。何で俺に……勘弁してよ。
広島カープが盛大なサヨナラ負けをした所で、おっちゃんは今年もあかんなぁとか言いながら俺達の方に向き直った。
そして一言「じゃあ始めよか」と言うと襖を開け、隣の部屋に入って行った。
俺達はその場で座っていたが、早よ来んかい!と言うおっちゃんの声に慌てて隣の部屋に入った。
うわっくっせぇ。
隣の部屋は窓にぴっちりとダンボールが貼られていて、かなり暗かった。
そして何より得体の知れない匂いが篭っていて、もの凄く臭かった。例えるなら洗ってない犬の匂い? とにかく俺は吐きそうだったよ。
部屋には四隅に蝋燭が立っていて、真ん中にはおっちゃんが座ってた。
でおっちゃんの前に囲炉裏みたいなのが有って、其処には片手鍋がぐつぐつ煮立ってた。どうやら匂いは其処から来ているらしい。
「早よ座らんかい。」
俺達はおっちゃんに促されるままに、おっちゃんの向かいに座る。
「そしたら、説明するで。まず金持って来たか?」
先輩が懐から結構な厚みの封筒を差し出すと、おっちゃんは奪うようにそれを取り、中身を確認する。
あれいくら位入ってんのかな……。
おっちゃんは満足げに頷くと、俺達に「よっしゃ、そしたら始めにやな、お前らこれ飲めや。」と言い、鍋の中の液体を柄杓で掬って湯呑に入れ俺と先輩に渡す。
液体はかなり素敵な匂いを放ってた上に、何かよく分からない物が浮いてて、色は灰色に緑混ぜたみたいな色だったよ。
そしておっちゃんは自分の分も用意した後、ふぅふぅ吹きながらぐいっと飲んじゃった。まじか……そりゃこんな物飲んでたらやつれもするわ。
「うーん、まずいもう一杯! ……てお前ら早よう飲まんかい!」
おっちゃんは悪役商会ネタをやりながら俺達に言ったよ。おっちゃん面白くないし無理。これ本当飲むとか無理だって、ねぇ先ぱ……。
先輩? うぉお! すげー飲んじゃってるよ! 俺は初めて先輩の事を尊敬したね。
仕方無い、俺は一口飲む。何だこれ、果てしなく不味いぞ。うぅ……俺はえずき、何度ももどしそうになりながら怪しい液体を飲んだ。
ぐぇえ……まじぃ。俺涙目。
「よし飲んだな。これからもうちょっとしたらお前らは変な物を見ると思うが気にするな」
そう言うとおっちゃんはぶつぶつ何か言い始めたんだ。
すると辺りにもやみたいな物がかかり始め、次第にそのもやが形を取り始める。
「おぉ、おぉ。こりゃ又厄介なん連れて来たのぅ。お前ら何聞いてここに来たんか知らんがなぁ、わしはこいつらを今すぐに祓うたりは出来んど。お前らにもちょっと動いてもらわなあかん。わしはこいつらとお前らを仲介するから、後は若い者同士話しせんかいや。時間はまぁせいぜい30分位やな」
そう言うと、おっちゃんは再びぶつぶつ言い始めた。
えぇ! それってちょっと無責任過ぎない? 俺は心の中でおっちゃんに突っ込む。
そして先程のもやはいつの間にか形を変え、人型のそれに近づいて行く。
やがてもやは、俺達に纏わりついて来て、頭の中がぼんやりして来る。そして断片的な映像が頭の中に流れてくる。
目の前に止まるレクサス。車から降りて来た男が話しかけてくる。人の良さそうな男だ。
車に乗り込む女。車は人気の無い道を進んで行く。
やたらとテンションの高い男。
やがて真っ暗な山の中に車は停まる。女の顔が恐怖に染まる。
女はドアを開けようとするが、どう言う訳か空かない。
女は首を締められる。
次第に顔面は鬱血して赤くなり、目は白目を剥く。
そして舌がだらし無く垂れ下がった所で世界は暗闇になる。
ガタガタと揺れる振動を感じる。そこは真っ暗だった。
タイヤの転がる音? ここはどうやら車のトランクの中のようだ。
どれ位経ったか、不意に車は停まる。
トランクが開けられる。暗闇にいたせいか月の明かりが眩しい。
女は先程の女では無い。女の口はガムテープで塞がれている。手も同様に体の後ろでぐるぐる巻になっている。
男は優しく女を抱き起こすと、地面にそっと立たせる。辺りは山の中の様だ。
女は泣きながら男に縋る。男は一息に口元のガムテープを剥がすと女の耳元で囁く。
「助けて欲しいかい?」女は男に何度も頷き哀願する。
男は恍惚の表情を浮かべ、「だめぇ」と言う。
女は泣きながら山の中へ逃げる。
男は恍惚の表情のまま逃げる女の方をゆっくりと見た後、ニヤけた顏で「待ちなよぉ」とか言いながら女を追う。
後ろ手にガムテープで拘束された女は、何度も転がりながら必至で逃げるが、常態の男から逃げ切れるはずも無く、やがて男は優しく女の後ろから「捕まえたっ」と言いながら抱きすくめる。
女は全力で男から逃げようと藻掻くが、男は見た目とは裏腹な力で女を組み伏し、ゆっくりと首を締める。再び世界は真っ暗になる。
ザクッ……ザクッ……と言う音が聞こえる。
暗闇の中に丸く切り取られた紺色が見える。
目を凝らすと紺色の中に白く小さな光が見える。星だ。
不意に紺色の淵から黒い物が現れ視界を埋めて行く。
顔に不快な感触を感じる。土?
ここは……穴の中……か。生き埋めかよ……と俺は思う。
視界の紺色が黒く塗りつぶされた頃、頭の中の映像が薄れて行き、俺は全身に汗をかきながら目覚めた。
「……お、おっちゃん。これって。」
「おぉ、終わったか? 悪いとは思うたけどちょっと見えてしもうたわ。お前らも災難やのう。あの男、どうやらもう死んどるみたいやけど、酷いやっちゃなぁ。まぁええわ。胸糞悪いからあの男はこっちで始末しといちゃるわ。ちょっと灸すえたらなあかん。後なぁ、娘さんらはお前ら遺体みっけてこいや。ほんで早よう供養したらんと、そっちの兄ちゃん下手したら死んでまうで」
先輩の方を見るとかなりげっそりとしていた。
「先輩大丈夫ですか?」
「あぁ、あの変態野郎……許さねぇ。俺をこんな目に遭わせやがって」
先輩、自業自得っす。とは言えない。
俺は怒りに打ち震える先輩を放っといて、俺達はこれからどうしたら良いのかおっちゃんに聞いた。
するとおっちゃんは、取り敢えず遺体見付けたらここに電話しろと言い、俺達の方に名刺を投げて寄越した。
名刺には○○署交通課 ○山 ○良と有る。警察?
「心配すんな、知り合いや。後な、まだ薬の効果切れとらんから、街に出たら色んな者が見えると思うけど全部無視や、分かったな。相手にしとったらキリが無いでの。ほな行け」
俺達は取り敢えずおっちゃんの家を出て車に戻ると、とんでもない物を目にする事になった。
車には、映像で見た女の子が助手席に座って、こちらを無表情に見ている。トランクからはスカートの裾が見えている…。
洒落にならない。
俺は先輩に救いの眼差しを送るが、先輩は容赦無い。俺を無理やり運転席に座らせると、自分も助手席に座る。
「先輩、見えてないんすか?」
「うるせぇよ。おっさんしかとしろって言ってただろ、だからしかとしてんだよ!」
あぁ、見えてて敢えてそうしてる訳ね。はいはい、ってどんな神経だよ。
それにどうなってるんすかそれ、何かチラチラ顔がダブって気持ち悪いっす。あと先輩、胸が付いてますよ。
俺は心の中で何度も突っ込みながら車を走らせた。
途中スコップを買うためにホームセンターに寄り、うっかりトランク開けた時は死ぬほどびびった。
無表情な女の子が、ガムテープぐるぐる状態で俺を見ている。
俺はびびりながら、ちょっとごめんねって言い、スコップを入れるとそっとトランクを閉めた。
スカートの裾は出たまんまだった。
先輩が言うには、問題の峠は○○団地の前を抜け、そのまま進むと海が見えて来て、その先にあるらしい。
俺はその峠に着くまでに、何度も人や動物なんかを轢き殺しそうになった。て言うか轢いた。
あっ誤解しないでね、ちょっと大きな交差点に差し掛かる度に、みんな車に突っ込んでくるんだよ。分かってるよね?みんな死んでるんだ。
その度に俺はひっとか言ってたけど、先輩がしかとしろ! って怒るから、俺の頭はおかしくなりそうだったよ。
でもまぁ暫くすると、先輩とダブってる女の子以外見えなくなったけどね。
峠に差し掛かった辺りから、トランクの方から人の暴れる様な音が聞こえて来た。
隣を見ると先輩とダブった女の子もそわそわし始めた。
はっきり言ってシュールな光景だった。
俺達は車から降りるとそっとトランクを開けた。
こりゃいきなり見たら女の子も驚くよ。
そこには、必死な顔で暴れるさっきの子がいた。
俺達はスコップを持ち、先輩を先頭に問題の場所に行くと、2人で掘り始めた。
辺りはまだ暗くはなかったけど、時折遠くで鳴くカラスや山鳩の声が不気味だった。
俺達が穴を掘ってる間、2人の女の子達はずっと側で俺達の事を見てた。無表情で。怖いから見つめないでよね。本当お願いします。
先輩が前に掘ったからなのか分からないけど、案外簡単に土は掘れて直ぐに骨は出て来た。
俺達は、そこで手を止め先輩と2人で骨に向かい手を合わせた。もう化けて出ないで下さい。成仏して下さいって。
俺は誓って言える。前飼ってた犬のコロが死んだ時より真剣に祈ったよ。
俺達は気は進まないけどもらった名刺の刑事に電話をかける事にした。
その時俺は女の子のいた辺りを見たんだけど、女の子達は何時の間にかいなくなってた。
直ぐに電話が繋がり事情を言うと、刑事はすぐに行くから待ってろと言い、俺たちは車で待つ事にした。
暫くすると、さっきの電話の相手なのか刑事がやって来て、俺達が軽く事情を話すと、後の事は警察が処理してくれるらしい。
遺体は犬の散歩中に見つけたって事になるらしい。俺達の事は何故か不問なのだそうだ。
どうやらおっちゃんが手を回してくれていたらしい。そんな事を刑事が言葉の端々で匂わせていた。あのおっちゃん何者なんだ?
何日か後で、山の中から白骨死体見つかるってニュースでやってたけど、犯人死んでる場合ってどうなるんだろな。まぁ俺には関係無いけど。
俺達はその後おっちゃんの家に戻り、遺体は無事見つけた事と、もらった名刺に連絡した事を伝えた。
するとおっちゃんは先輩に、「おっ。兄ちゃん大分男前になったな。車の方もわしが後処理しといちゃるからもう大丈夫やろ。又何日かしたらおいでぇな。後、ちょっと気になる事があるんやけどな、兄ちゃんの後ろに生霊になりかけとる姉ちゃんが見えるんやけど、兄ちゃん何か悪さでもしたんか?」
と言った。間違いない、置き去りにした女の子の事だ。先輩はそれを聞くと、慌てて携帯電話で何処かに電話すると、物凄い勢いで謝ってた。
あの先輩が謝るとは、よっぽど今回の事が懲りたのだろう。
おっちゃんの家からの帰り道、先輩は俺にこう言った。
「なぁ聡。あの車な、お前にやるわ。……後言っとくけどな怖えとかそう言うんじゃねえぞ。新しい女が車くれるとか言うからだぞ。分かったか。……他の奴にふかしてんじゃねぇぞ。」
俺には先輩がびびってるとかどうでも良かったんだけど、思わぬ報酬が嬉しくて、にやにやしてたら先輩に殴られた。それでもにやにやは止まらなかったけどね。
数日後、俺はおっちゃんの所に車を取りに行った。
「あれ? 男前の兄ちゃんはどないしたんや。」
先輩の事か? 確かに俺は男前では無いけれど、そんな言い方って……。
「まぁ兄ちゃんでもええやろ。すまんけどな1人は何とかなったんやが、もう1人はもうちょいお前とドライブがしたいんやと…。言うんは冗談や。この娘、ここの住所に連れて行ったってくれや。この娘の実家やな。そしたらこの娘ともおさらばや。そしたら兄ちゃん頼むで、またなんか有ったらおいでぇな、金は貰うけどな」
おっちゃんは、笑いながら俺に住所の書いた紙を渡すと家の中に入ってった。
俺は車の方を見たよ。いるよ。そしてものっそいこっち見てるよ。おっちゃん約束が違うぜ。
俺って憑いてるな。くだらない冗談をつぶやくと、俺は紙に書いて有る住所に向けて車を走らせた。
この話の先を書くかわかりませんが、とりあえずこれで終わりです。
また気が向いたら軽いノリの話も書いて見ます。