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6話 初pvp


そいつが足元にいる俺に気づくや否や

俺は勢いよく飛び掛かっていく。


「うおあッ!」


「なんだ!」


体全体を使ってのタックルが腹に決まり、

持ちこたえられずに男は地面に倒れ伏し

手に持っていた松明が地面に転がる。

仰向けになった所を前足で押し付け

そこへ我先にとシャーが肩へ喰らいつくと

悲痛な声と共に血しぶきが上がる。


「げっ、コイツ、MPですよ!」


「なんでこんなところに居やがんだよ!」


シャーが攻撃をしている間に三人の動きを確認するため

後ろに振り返ると彼らは驚きつつもこちらを見据え

腰につけているそれぞれのポーチを開ける。

すると、キャラクターエディットにみた

光の粒が溢れだし、彼らの手に集まっていく。


蜥蜴男のデスマーチはその大柄な体格に相応するハンマーに

やや細身な狼男のスマットフォンは爪を模した武器に

二人の後ろにいる小柄なエルフのシン=ボォルは乾いた木製の杖に

それぞれの形が構築されていく。


「この野郎ッ!離れやがれ!」


人間のイキリットが足で俺の体を

押し退けようとするが踏ん張るまでもなく

拘束が解けることはなかった。

しかも、シャーの気に障ったのか牙がさらに肩に食い込んでいき、

押し退ける力が徐々に弱まっていく。

どうやらレベルの差はあれど筋力値はこっちの方が高いようだ。


「・・・俺がやってやる」


「あっ、ちょっと!」


「無暗に突っ込むな!」


このまま、シャーで噛み殺せればよいのだが

仲間たちが指をくわえてみているはずもなく

スマットフォンが鋭い目でこちらを睨むと先陣を切り、

飛び上がり、手に装着した鋭い爪を両の手で

垂直に振り下ろして俺の体を切り裂く。


「うわあっ!」


が、それは背後からの黒い弾丸により、妨げられ

飛び込んだ勢いと衝撃により、俺の遥か前方まで

吹き飛ばされていく。


「もう一匹いたのかよ!」


「だから気配感知のスキル多少無理してでも取っとこうって言ったんですよ!

しかも、こっちはレイスのMPですし!」


「ウルセー!とにかくイキリットさんから助けんぞ!」


・・・危なかった。

リザードマンの人が警戒しすぎているのは幸運だ。

囲んで叩かれたら、そこで俺の負けになる。

妹に助けられたと同時に位置がばれたことによる

危機感が募る、がまずは俺を狙うようだ。


「クソッ、もうすぐ目的のところだってのに

もったいないが・・・シン!拘束頼めるか!」


「OKです!」


拘束?と疑問に思っていると

後ろにいたシン=ボォルがポーチから黄色の液体が入った瓶を取り出し

こちらに向けて投げつけてくる。

突然のことで体が動かず、その瓶をもろに食らい、

中の液体を浴びてしまった。


《マヒ状態を確認しました》


頭の中にあのアナウンスが流れると

それを機に体が硬直し、一歩も動けなくなる。

初めて状態異常という物にかかったという感傷に浸っている間もなく

この状態異常で完全に立場が逆転したのだと理解した。


「よし、かかりました!」


「よーし、動けなきゃなんもできねえだろぅ?

お返しの時間だぜ、アルガサンよぉ・・!まずはイキリットさんの仇からだ」


「おい、まだ死んでないぞ」


さっきまでの焦りはどこへやら、

余裕綽々と言った様子で雑談をしながらゆっくりと俺に近づき

肩に食いついたまま動けなくなっているシャーの頭に

ハンマーを突き付ける。

まるでゴルフでスイングの際、狙いをつけるかのように

ハンマーで確実な必殺の一撃を叩きこむつもりだ。


いつになったら、マヒ状態が解けるのか。

このままでは死ぬ可能性が高い。


奴のハンマーに青白い光が舞い、

周囲の空気に重さが加えられていくような感覚に陥る。

やばい、冗談じゃ済まない威力を秘めていることは

初見でも明らかだ。焦る気持ちとは正反対に

それでもなお体は動くことはなく・・


「【破砕撃】ィィィィィィ!!」


シャーの頭が潰れたと思った瞬間、頭から壁に叩きつけられ、反射的に目を閉じる。

石の破片が雨の様にバラバラと頭の上に落ちてくる。

ゆっくりと目を開ければ叩きつけられたと思われるところには

クレーターができ、周りの壁にも根のようにひびが入っている。


《瀕死の状態を確認。危険です》


《頭部の損傷を確認》


《気絶状態を確認》


・・・?

馬鹿でも分かるような危険なアナウンスが流れるが

俺はとある「異常」に意識を向けていた。

痛みが、無い・・・?

蝙蝠に刺された時にはシャーにも痛みが共有されていた。

ならばその逆もあり得るはずだ。痛みが少ないという考えも浮かんだが

見た目もアナウンスも最高レベルなのだそんなことは有り得ない。


いや、待てよ、逆にダメージが大きすぎるからこそ…


「おいおい、スタンまで入ったぞぉ、やっぱwikiの通り

マヒからのハンマー最強だろ!」


「ハンマーなんて悪役かモブ見たいで嫌なんだがな、

だけど今回は助けられたぜ」


「・・・油断した」


彼らの会話で自分の今置かれている状況を思い出す

状況を確認すると押さえつけていた奴は解放され

吹き飛ばされた奴は戦線復帰し、俺は意識があるのに「気絶状態」で動けず

シャーも糸が切れたかのように反応ナシ。


・・・終わったかぁ


『ちょっと!生きてるの!』


妹から大声の念話が届く。


『おう、何とかな!でも気絶状態で動けねぇし、

勝ち目ないから、俺が時間稼ぎしている間にお前は逃げてくれ』


『・・・わかったわ。でもここまでやって収穫ナシってのは

腹が立つから、あの腕ケガしたやつを仕留めてから___』


「さて、皆さんがあっちをやってる間に僕はこっちのレイスでも仕留めましょうか」


念話中にシン=ボォルの聞き逃せない独り言が耳に入る。

首が動かないせいであちらの様子を見ることができないが

目を凝らすと赤い光の粒がどこかに集まっていくようだ。

いったい何を・・・いや待て

俺は似たような技をこの戦闘の前に見たはずだ。


そうだ、妹のあの黒い球のやつだ。

あいつ、妹と同じような技を使えるやつだったのか。

なんにしてもこのままでは妹までやられてしまう。


しかし、思いは空しく、体は動かない。


「これで終わりだ、残念だったな」


と目の前の黒髪の男が

いつの間にか無事な方の腕で細身の剣を持ち、

こちらに剣を突き付ける。


そして、剣を持ち上げ、

俺にめがけて・・・振り下ろされた。



ズシャッ___




肉を断ち切る生々しい音と共に真っ二つになる・・・・



()()()()()()()()()



ご都合主義感がある気がする・・・

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