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3話 初めての敵

 

妹にそう言われ通路の方を見る。

気配感知のおかげか、暗闇で姿は見えないが「何か」が向かって来ている

気配がする。そして、段々と気配の正体が暗闇から姿を現す。

魔物に意識を向けると鑑定、識別の効果でその魔物の名前と状態が見える。


ウルフ lv3 魔物 戦闘状態


それは1匹の狼であった。毛は灰色で金色の目が妖しく光る。

その眼は敵意で満ちており、鋭い歯を剥き出しにし

いつでも飛び掛かれるよう姿勢を低くし、低い唸り声をあげる。


鮫の頭がヴォルフをその眼で見据えると

ヴォルフと同じように牙を剥き出しにし、洞窟に大きく響くほどの

大きさで牙を鳴らし威嚇をし始める。

ヴォルフも吠えはじめ、お互いに睨み合う。

この隙に妹と話し合おう。


『どうする?戦うか?それとも逃げるか?』


『戦うに決まってるでしょ。あっちはレベルが高いけど2対1で

 こっちの方が有利だし。』


『だな。じゃあやるぞ。』


『分かった。でも少し足止めをお願い。』


念話でそう伝えると俺はヴォルフに飛び掛かり、前足で潰そうとするが

ヴォルフは素早く右に避け、俺の攻撃は空を切る。


ならばと、鮫の頭をヴォルフに向け、そいつに噛み付けと命令を送る。

すると、鮫が大きく口を開け、ヴォルフに噛み付きに行くが

今度は左に避けられると同時に腹の方に痛みが走る。


俺は咄嗟に前足を横に水平に振り払うが後ろに引いたようで俺の攻撃を難なく躱してしまった。


腹を見ると4本の赤い線があり、そこから血が流れだす。

ヴォルフを見ると前足の鋭い爪に赤く濡れているが、

そんなことは顔を見るとどうでもよくなった。


ヴォルフは、なんと嘲弄するような眼で俺のことを見ていた。

それは、最初の敵を見るような眼でなく、俺を見下し、軽視している。


俺をデカいだけの鈍いやつ、とでも考えてるのだろうか?

狼、ましてやnpcが相手の力量を見極め、馬鹿にしてくるとは色々なゲームをやってきただけに軽視される事に腹はたつが面白い。


さて、どうしたものか。狼はこちらの出方を伺っている。

先程のように俺が飛び込んだところを避け、すれ違いざまに攻撃してくるに違いない。


俺のスキルの中に役立ちそうなスキルはなかった...と言うか全部自動で発動するようなスキルばかりなのでスキルがあってそれでも届かないのだ。


自然治癒のスキルは働いているようだ。少しずつだが痛みが和らいでいる...そういえば傷は思ったより深くはなかったな。あいつの攻撃力...筋力値は結構低いのか?


俺は再びヴォルフに飛び掛り、前足を交互に繰り出すがやはりヴォルフは余裕といった態度で易々とかわしていく、何発目かの後に俺は思いっきり右前脚を叩きつけるが当然避けられ、ヴォルフがしめたとばかりにがら空きになった前足に噛み付いてきた。


ここだ!俺は痛みに耐え噛み付かれた前足をヴォルフごと持ち上げ押さえつける形で地面にたたきつけた。


上手くいった。大きな隙を見せれば爪よりも深い傷を負わせられる噛みつきを選ぶと予想してやったが油断もあったせいか簡単に引っかかった。肉を切らせて骨を断つってやつだ。

四肢を振り回し抵抗しようとするヴォルフを

俺は更に力強く踏みつけるとミシミシと嫌な音を立てヴォルフの動きが弱まっていく。


トドメだ。隣にいる頭に噛み付くように命令を出す。

ゆっくりと大きく口を開け唾液を垂らしながら海の暴君にふさわしい牙でヴォルフの首に喰らい付こうとする...


突然先程まで瀕死だったヴォルフが再び暴れ出し、俺を押しのけて見せたのだ!慌てて俺は左前足も使い押し付けようとするがヴォルフは体をひねり俺の高速から抜け出してしまった。


ヴォルフに目を向けると先程まで金色だった目は赤黒く染まっていき、殺意と恐怖を感じる顔をし、荒々しく呼吸をしている。


ヴォルフ Lv2 魔物 怒り状態


確認してみたところ戦闘状態から怒り状態へと変わっている。最初の敵のくせに俺にはない能力を備えているようだ...強すぎないかこいつ?何より恐ろしいのは俺の拘束を純粋な力で解いた所だ。力だけかそれとも他に上がっているのか...


ヴォルフが狂ったように俺を目掛けて飛び込んでくる。

早い。格段に早くなっている。

咄嗟に避けようとしたが反応が遅れたのもあり、避けきれずに俺の目の前に牙が迫る...その瞬間横から黒い球が

ヴォルフの横腹に命中し、吹き飛ばされ地面に転がっていく。


球が飛んできた方を見ると記号がまとまり円になったようなものがあり

それが段々と薄くなり、消えるとそこには妹の姿が見えた。


『お兄ちゃん!今がチャンスだよ!』


そう言われヴォルフを見ると顔の周りに黒い靄の様なものが目を覆い、

それをどうにかして取ろうと暴れまわり、こちらは見えていないようだ。

確かに今がチャンスの様だ。


俺は全力で走り、怒りをすべてぶつける勢いでヴォルフに

真正面から、一切足を止めることなく、車のように跳ね飛ばし

ヴォルフは甲高い非鳴と共に宙を舞い、地面に叩きつけられ

ピクリとも動かなくなる。


それと同時に、頭の中に声が響く。


《戦闘により種族レベルが上昇しました。》

《任意の能力値に3ポイント増加できます。》

《噛み付きのレベルが上昇しました。》

《爪撃のレベルが上昇しました。》

《体当たりのレベルが上昇しました。》

《疾駆のレベルが上昇しました。》

《自己回復のレベルが上昇しました。》

《身体強化のレベルが上昇しました。》

《気配感知のレベルが上昇しました。》

《連携のレベルが上昇しました。》

《鑑定のレベルが上昇しました。》

《識別のレベルが上昇しました。》


これまでにないほどの多くの単語が頭に流れ、少し驚く。

ふう、危なかったな。にしても、初めての敵にしては強すぎないか?

2対1でここまで苦戦するなんて思わなかった。


『お兄ちゃん!さっき怪我してたけど大丈夫?!』


妹の声を聞き、そちらへ向くとゆっくりと妹が近づき

先程、怪我をしたところを見ると

徐々に傷が塞がっていくが見ていると少々気味が悪い


『おおー、すごい速さで傷が治ったね。自己回復ってスキルのおかげだよね?』


『そうだな。少し気持ち悪いがかなり使えると思うぞ。

しかし、お前がいなかったらやばかったな。ありがとな』


『どういたしまして。でも私も近づかれたらやられちゃうから

お互い様だけどね。』


『そうか。ところであの死体はどうするんだ_______』


【クイタイ!オレガクイタイ!】


と言いかけたところで妹とは違う、片言な声が頭の中に入ってくる。声の元をたどると

そこには俺のもう1つの頭、ヴォルフの死体を凝視している鮫の頭しかいない。


どう考えてもこいつの様だな。周りを見ても俺と妹以外はこいつしかいない。

念話の様に聞こえるが声と一緒に、こいつの今すぐ喰いたいという

意思も入ってくるので念話とは違うようだ。


というより、鮫がクイタイ、クイタイとうるさいので

妹に相談する。


『なあ、この死体、俺のもう1つの頭にくれないか?

さっきから、喰いたい、喰いたいってうるさいんだ』


『ん?シャーちゃんが?いいよ食べさせてあげて!』


『それは助かるがシャーちゃんて・・やっぱりセンスがないよな』


『そうかなぁ?でもいつまでも名前を付けないのは不便でしょ?』


『まあ・・・そうだな。じゃあ、こいつの名前はシャーか』


そして、俺がヴォルフの死体の前まで行くと

シャーは一気に喰い始め、辺りに血が飛び跳ねた。



名前 ガルム

種族 キメラ 男 種族Lv1

加護 融合王の加護 (連携UP↑)


ノーマルスキル

噛み付きLv2 爪撃Lv2 体当たりLv2 夜目Lv1 疾駆Lv2

自己回復LV2 身体強化Lv2 気配感知Lv2 連携Lv2

念話Lv2 水棲Lv1 鑑定Lv2 識別Lv2


 器用値 20 敏捷値 24 知力値 20 筋力値 24 生命力 24 精神力 20


種族スキル

捕食吸収 複数意思 威圧 共有 鮫肌 丸呑み 頭(獅子 鮫 )※あと1頭まで追加可能

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