1話 キャラクター設定
途切れた意識が戻るとそこはさっきいた自分の部屋ではなく
どこまでも続く白い世界だった。そして目の前に驚く物があった。
そこには「自分」の姿がある。
しかし、全く感情は無く、どうやら人形の様だった。
問題はなんで俺の人形がここにあるのかだ。そもそも身長なども教えていないのに
ピッタリ俺の身長と同じなのだ。
一体どうなっているのかと考えていると突然、無数の光の粒が
2か所に集まり人の形になる。
1人は妹で、もう1人は目を見開き感情が無ので人形でだろう。
俺もこんな感じでここに来たのかな?
そして本物の方が目を開け、辺りを見回す。
「ここは・・」
「よう。すごいよなこれ、さっきまで、自分の部屋にいたのに、
気が付けばここにいるなんて。」
「うん。ほんとにすごい。どうやって___って、あれ、これ私だよね?。」
「どうやら人形の様だけど‥。気になるのはいつこれが作られたか。」
「そうだね。こんなの頼んでないし、けどよく作られてるね。
お兄ちゃんそっくり。」
《これよりキャラクターエディットに開始します》
と、話していると、急にあのimportant personシステムで聴いた無機質な声が聞こえた。
《種族を選択してください》
と声が言うと、目の前にゲームでよく見るような黒い画面が現れる。
「すごいね。ゲームの画面そっくり。」
「やばいな。ワクワクしてきた。」
その画面には、数えきれないほどの種族がある。
人間はもちろんエルフやドワーフ等のよくある種族から妖精、人魚
半獣・鳥人・竜人など複数分かれている物もある。
試しにエルフを選択すると人形の自分の耳が光の粒になり、とがった形になる。
もしかしたらと思い、竜人を選択すると今度は全身が光の粒となり爬虫類のような見た目になる。
どうやら、種族ごとに特徴があり、選択すると人形がその見た目になるようだ。
こんなに多くの種族があり、それぞれに特徴があるのなら、
これだけで1日立つかも知れないなと思っていると・・・
妹が、急に口を開いた。
「いっぱいあるけど・・私はもう何にするか決めたよ」
「えっ、早いなお前、もう少し悩むだろ、普通。
こんなに種類があるんだぞ。」
「いーの。この種族になれるのが夢だったんだから。あと今さっきの勝負の賭け使うよ。」
「えっ?い、いまか?出来れば変な種族にするとかは、やめてほしいんだが・・」
「んー・・まあ、大丈夫だよ。お兄ちゃんにやってほしいのは、この中から選んでほしいの。」
そう言って、妹が指した場所は予想外のところだった。
「魔物」____全ての種族と敵対する者だ。意思はなく、死ぬまでただ破壊や虐殺を繰り返す者
他の種族を上回る力を秘めているが、別の種族が魔物を見つけたら仕留めに来るだろう。
と説明文に書かれている。とてもじゃないが普通選ばないだろう。
「なんでこの中なんだ?他にもあるだろう?」
「さっき私、決めたって言ってたでしょ?その種族、魔物だからね。
お兄ちゃんと一緒にやりたいからさ。魔物じゃないと困るの。お願い!」
・・・確かに俺が別の種族を選べば妹とは敵対をしてしまうだろうから
一緒にはできないだろう。だがそれよりも約束を使うほど俺と一緒にやりたいと
言ってくれたのがとてつもなく嬉しかった。
「分かった。もちろんいいぞ。俺も絶対にこのゲームをお前とやりたかったからな。
だから2台も買ったんだからな。」
そういうと妹は嬉しそうに「ありがと!」と笑顔で言った。
・・・あの笑顔で可愛いと思うのは普通だろう。
別にそうゆうのではないはずだ。
さてそうはいったものの何を選べばよいのだろうか。
スライムやゴブリンなどいろいろあり悩む中、ふと1つの種族が目に入った。
「キメラ」____別名融合獣。魔王が複数の魔物を生贄に禁術でし造られたと言われている魔物。
複数の魔物の頭を持ち、その頭の能力が使える。
キメラには、思い出がある。実は俺は色々なゲームをやっていたが、攻略などを見ずに
全てのゲームをクリアしていた。しかし・・初めて敗北した相手がいた。
それがこのキメラだった。複数の属性攻撃や連続攻撃に耐えれずに
俺のパーティーは全滅した思い出がある。
今ままで負けたことなかったので、勝つのが当然だった。
だから、当然この敗北が悔しかったが、レベルを上げ、苦戦をし、
勝てた時は、思わずガッツポーズをとるほどだった。
この敗北で、ゲームの戦闘の時、胸が高鳴りや勝った時の喜びが分かったのだ。
なので、キメラは俺のゲームの楽しさを教えてくれた恩があり、
最強の魔物なのだ。
そのキメラが選択できることがとても心が踊り、迷わずキメラを選択した。
選択すると、種族の画面が消え、画面が現れる。
頭の選択と色の変更の画面の様だ。
まずは頭の選択からやることにした。
頭は、獅子、虎、山羊、蛇、狼、馬、鷹、鮫がある。
ベースと、サブの2種類があり、2種類選べるようだ。
「ベースは当然、キメラと言ったら獅子だよな。で、サブは蛇か山羊したいが・・・
鮫ってなんだよ、おかしいだろ。」
すべて陸上だが、1つだけ水中である。しかも1つだけなので
他の頭と合わせて水中専門にすることもできない。
これでは、ネタと言われてもおかしくないレベルなのだが
なんとなく、やってみたらどうなるのかと気になってしまった。
・・・そして気が付いたときには、決定ボタンが押してあり
サブの項目には「鮫」とあった。俺は考えなしにネタを選択した俺を酷く恨んだが
もう変えることはできない様だ。
「はぁ・・やっちまったなー・・・まあいいやもう色は・・・
自動でいいか、面倒くさいし。よし、これで決定、と・・って、うわ!」
決定を押すと同時に人形が他の時よりも多くの光の粒を出し、
大型獣の形を作る。まず、最初に目に入るのは頭だろう。
本来首のある所から1つ、俺から見て、少し斜め左下にもう1つ頭が生えている。
その頭は、最初に選んだ通りで、1つは獅子で、もう1つは鮫だった。
獅子の頭は朝焼けの様な、いわゆる曙色で
鮫の頭は暗めの青、紺色である。
そして、胴体には獅子の体に背びれが、尾があるところには三日月の様な尾びれがある。
変な感じになると思ったが意外カッコよかったので安心した所で妹に伝える。
「おーい!決まったぞー!」
「あ、終わったの?ちょっと見せてよ。」
「いや、ここを出たら見せ合いにしよう。そっちのほうが面白そうじゃないか。」
「うん。確かにね。じゃあ楽しみにしておくよ。それで次は‥」
と妹が言いかけたところで、ピロンと言う音が鳴り、
《キャラクターエディットが終了しました。ワープポイントを選択してください》
という声が聞こえ、またまた黒い画面が現れる。
どうやらこれは、ゲームのどこかの大陸の地図の様だ。
特徴は、北の方が不自然にえぐれており周りが灰色になっている。
まあ、考えてもわからないので、置いておくことにした。
ワープする場所は5か所あり、洞窟、平原、火山、寒帯、海がある
そしてどうするか妹に尋ねようとしたとき、妹が申し訳なさそうに口を開いた。
「ところで・・お兄ちゃんのキャラって、暗いところ大丈夫かな・・」
「ん?あーたぶん大丈夫じゃないか?どうして、そんなこと聞くんだ?」
「いやー、なんか私のキャラ暗い所じゃないと動けないらしいからさ・・あはは・・」
「おいおい・・というか今ので大体どんなのか分かったぞ。」
「やっぱり?まあそうゆう事だから、洞窟にしてくれない?」
俺は「分かったよ。」返事をして、洞窟を選択する。
どうやらこの洞窟はアファグナ洞窟と言うらしい。
そして決定を押すとまたピロンと言う音が鳴り
《ワープポイントを決定しました。疑似感覚の度合を設定してください》
疑似感覚とは、どうやらゲームの中で本物のように暑さや寒さを感じられるようだが
その分痛みが伴うようだ。子の条件じゃやらない人が多そうだが
どんな感じか、試してみたところ、100%から少しでも下げると
その分すぐに動けない事が分かったので100%にすることにした。
やはり魔物なので戦闘も多いだろう。その戦闘ですぐに動けないのは
やはり致命的だからだ。それに2人とも本物のように楽しみたいからな。
《疑似感覚の設定を完了しました。これより転送を開始します。》
「おお、ようやくだな。どんな感じになるんだろうな」
「行ってみたらすぐにわかるよ。」
そんな会話をしていると足元が光り輝き
また意識が途切れた。
《キャラクターへの同調を開始・・・完了しました。》
《調節を開始・・・完了しました》
《加護の取得を確認、m001は「融合王の加護」m002は「不死王の加護」取得しました》