表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
188/191

第188話「外伝・クラン炎②」

 クランフレイムのリーダー、チャーリー・アトキンズが持って来た話は、やはり勧誘であった。

 ソロで活躍するダンの評判を聞き、依頼遂行の補助を願い出たのである。


 チャーリーによると……

 依頼内容は人に害を為すゴブリンの討伐。

  

 出発は明日。

 午前9時には現地へ入りたいという。

 場所は、王都から徒歩で約1時間のとある村。


 肝心の報酬は1日拘束で金貨3枚だという。

 魔法使いの雇用料として、けして多いとはいえないが、ダンは満足であった。


 ダンがOKすると、チャーリーはひどく喜んだ。

 身体全体で感情を表す。

 このオーバーアクションも彼が好かれる原因のひとつかもしれない。


 チャーリーは早速メンバーに紹介したいとダンを誘った。

 指さした方向にあったテーブルには3人の男達が座っていた。

 やはり『あの時』の男達だ。

 皆、チャーリーと同じく若い。

 全員20歳前で、少年に近いだろう。


 ダンが席に着くと、チャーリーがにっこり笑う。


「おう、ダンがOKしてくれたぞ。全員自己紹介してくれ。じゃあ改めて! 俺、チャーリー・アトキンズ。冒険者ランクCの戦士。クランフレイムのリーダーをやってる」


 続いて、小柄ですばしこそうな少年がVサインを出す。


「おいらはアーロン・エイベル。チャーリーと同じで冒険者ランクC。クランフレイム所属のシーフさ」


 続いては、法衣ローブを来た少年が柔らかな笑みを浮かべる。


「僕はコンラッド・ウォール。同じくクランフレイム所属。冒険者ランクCで僧侶なんだ」


 そして最後は魔法使い用の法衣を着た少年である。


「俺はニック・メラーズ。同じくクランフレイム所属。冒険者ランクC、魔法使いだよ」


 4人の自己紹介が終わると、ダンも頭を下げる。


「ダン・シリウスだ。ええっと、チャーリーに、アーロンに、コンラッドに、ニックだな……宜しく頼む」


 互いの挨拶は終わった。

 と、なれば一緒に飯でも食えば、仲がぐっと深まる。

 

 ダンがそう考えていたら……

 どうやらチャーリーも同じ事を思っていたようだ。


「よっし! じゃあダン、昼飯食いに行こうぜ。中央広場近くに可愛い子が居る店があるんだよ」


「可愛い子?」


「おう、そうさ。可愛くて、胸も大きくて、お尻もきゅっと上がってる。見るだけでもうドキドキだよ。さあ行こうぜ!」


 チャーリーが行く店には、可愛い女子が居るらしい。

 高校生の時以来だろうか……

 久々にそんな会話をするのがダンも楽しい。


「おう、じゃあ行こう」


「おお、ダンは話が分かるなぁ」


 とチャーリーが嬉しそうに返すと、

 すかさずクランメンバー達が突っ込む。


「じゃあ、ダンはチャーリー同様、女好きかよ」

「ははは、どスケベって奴か?」

「男子らしくて良いよ、それ」


 以前から、ずっと仲間のような温かさに包まれて……

 ダンは幸せな気分でギルドを出たのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 翌朝7時……


 時間にだいぶ余裕を見て、ダンとクランフレイムは王都の正門前に集合し、出発した。


 本当は馬があれば良いが、1日のレンタル料が結構高い。

 万が一死なせでもしたら、1頭あたり金貨50枚は支払わねばならない。

 そんなアクシデントがあれば、完全に赤字となってしまう。

 だから現地までは徒歩で行く。

 ひたすら1時間歩くのだ。

 

 若くて元気だし、全員身体を鍛えている。

 だから少々歩いても苦にはならない。


 ダンは秘めたる力を持つランクBだが、チャーリー達もランクC。

 最低ランクがFだから、年齢にしては相当の実力を持つ冒険者達だといって良い。


 やがて目的の村へ着く。

 依頼主の村長に挨拶し、休む間もなく、ゴブリンが居るらしき『巣』を目指す。


 暫し歩き、巣に着いた。

 岩が混在した草原に穴がたくさん開いている。

 ゴブリンは穴を掘って地下に住んでいるのだ。


 気配を察したのか、ゴブリンが続々と現れる。


 しかしギルドからの依頼書と大きな相違があった。

 ゴブリンの数が全く違っていた。


 数十頭のはずが、実際には全く違う。

 その倍以上、100頭を楽に超えていたのである。


 ……原因は村の予算不足にあった。

 相応の謝礼金を用意出来なかった為、村長は冒険者ギルドへ虚偽の申請をしたのだ。


「畜生!」

「くそ村長の奴!」

「嘘付き野郎めっ!」


 憤り、口汚く罵る、アーロン、コンラッド、ニック。

 チャーリーだけが腕を組み、苦笑してゴブリン共を見つめていた。


 と、ここでダンが「ずいっ」と前に出た。


「俺に任せろ、チャーリー達は後方から援護してくれ」


「おいおい、俺は盾役タンクだ。ダン、一緒に行くぜ」


 チャーリーはそう言うと、メンバー達へ冷静に指示を出す。


「アーロン、全体を見て戦局を見極めろ。気が付いたところがあったら大声で報せろ。コンラッドはスタンバって回復魔法の準備だ。俺とダンが負傷したらすぐ対応出来るようにしてくれ。ニックは後方から攻撃魔法で援護だ。ドジって俺とダンに当てないようにな」


 なんやかんやいじられながら、さすがリーダーである。

 チャーリーは本番に強いタイプなのだ。


「よし、ダン行こう! 君は剣だけではなく至近距離で攻撃魔法も使えると聞いたぞ」


「おう、その通り、火の魔法が使えるぞ」


「よっし! 知っているだろうが、奴らの弱点は火だ。近くで使えば奴らはひるむ。そこに付け込むぞ」


「了解!」


「おらおらおら~~!!! 行っくぞ~~!!!」


 ゴブリンが満ちた草原に、チャーリーの凄まじい雄叫びが響いた。

 ダンも気合を入れ直し、襲いかって来るゴブリン共を見据えたのであった。

いつもお読み頂きありがとうございます。


皆様へお知らせです!


『魔法女子学園の助っ人教師』

(小説版:HJノベルス様刊)


最新刊第7巻が12月21日に発売されました!!

王都でデートするルウ、フラン、ジゼルの素敵な表紙が目印です。


またジゼルの兄・王都騎士ジェローム、高貴なる4界王・火界王パイモンがイラストで初登場!

ぜひご覧になってください。


小説書籍版は既刊第1巻~6巻も好評発売中です。

店頭でお気軽に、お手に取ってくだされば嬉しいです。


『新刊&既刊』が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。

この機会に7巻まとめ買い、一気読みなどいかがでしょうか。

ぜひ当作品を「ぐいっ!」と後押しして下さい。

何卒宜しくお願い致します。


ご購入された方は、

小説家になろう様の活動報告、もしくはツイッターへ、ぜひご一報をください!

東導は感謝感激状態となります。


そして!


※コミカライズ版『コミックス第2巻』も『11月27日』に発売されました。

第3巻に向けて既刊の第1巻ともども発売中です。

こちらも応援宜しくお願い致します。


その『コミカライズ』版が大好評連載中です。

株式会社スクウェア・エニックス様の刊行雑誌、

月刊「Gファンタジー」※毎月18日発売にて、コミカライズ版最新話が読めます。

藤本桜先生の筆致で描かれる華麗な魔法世界を体感してください。

1月18日に発売された2月号にて最新話が読めます。

また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。

WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


そしてもうひとつ!

マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が好評連載中です。

毎週月曜日更新予定です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ