Lazward
「私ね、魔法使いなんだ!」
幼少の頃、虐められていて泣いてたオレに、
全く知らない女の子が笑顔で言う。
茜色に染まる空を彼女は箒にまたがって飛ぶ。
地平線に沈む太陽が海に反射して、円になっていた。
「一緒に飛ぼう!」
にっこりと、純粋な笑顔で彼女は手を差し出す。
その笑顔にオレは、少し見とれてしまう。
「うん!!」
でも楽しそうで、嫌なことが全部忘れられそうで、
彼女の手を握った。
「いっくよ~!!」
箒にまたがり、二人乗り。
バランスのとり方を知らないオレは思わず彼女にしがみつく。
「大丈夫だよ!」
そんなオレに彼女は楽しそうに笑う。
ゆっくりと力を抜いていく。
「……わぁ~!!」
高い。
雲が横にある。
いつの間にか、オレのいた島を見下ろしていた。
いつしか夕焼けは消えていた。
ゆっくりと空は群青色に染まっていく。
「さぁ、何処に行く?」
空を駆ける。
屈託のない笑顔で。
一緒に駆ける。
無邪気に笑いながら。