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substitute

作者: 夏目

一部腐関連の話が出ます。だけど、単なる勘違い。



 俺は、小説全般が苦手だ。

 文章を目で追っていると、眠気に誘われるため全て読んだためしがない。


 そんな訳で、まず初めに何を書けばいいか分からないが、これだけは書いておこうと思う。


 俺は、兄に、嵌められた。








ーーーーーー



 俺と兄は双子だ。

 だから、彼は17歳である俺と同い年である。


 両親の頭の良さは兄の方に全て行ったようで、現在奴は全寮制の私立一貫校に編入している。

 片や、俺は平均的な県立高校にいるが、気にしたことはない。

 寧ろ、堅苦しいことは苦手なので、兄に哀れみの気持ちを送ったこともある。


 とまあ、そんな訳で俺と兄は、ここ最近会ったことがなかった。

 実家暮らしと寮生活だと、いくら兄妹だとしても会わないよな。




 ああ、自己紹介がまだだったか。

 俺の名前は、明日葉夏日。

 現在女子高生2年目である。


 特出する特技もなく、趣味も無いのでいつも

 暇なのは確かだ。

 しかし。


「あんの、クソ兄貴ィ・・・」


 何故、俺が奴の代わりに校内パーティに参加せにゃいかんのだ。

 ああもう、腹が立って素が出てしまうじゃないか。

 まあ、兄に言われてのこのこついていった俺もバカだったといわれればそれまでだったが。


 当然、彼の学校であるため彼に扮するために男装して行く必要がある。

 が、奴が既にメイクや服などを用意してた。

 何で準備万端なんだお前。


 兄にせかされるまま準備していると、いつの間にか彼の姿も消えていた。


 彼がいた場所に置かれていた置き手紙で、ことの次第がわかったが、何故逃げたのだろうと思った。

 思ったけど、そのあとの理由を説明してある文章をみて、分かった。


 俺の反応を見越して消えたのだろう。

 まあ、正解だろうな。

 生徒会の役員として絶対参加のこのパーティと同じ日に彼女と会うから替え玉になれと言う理由なん て、俺が認めると思うか?

 答えは否だ。


 今逃げても、寮で罠をしかけるから意味無いがな。


「つーか、兄貴に似てるか?」


 鏡の前で真剣な顔をしてみるが、どう見ても兄には見えなかった。

 兄は、母親譲りの優しい目元をしているが、俺は父親譲りの目つきの鋭さを持っている。


 小学校の頃、俺をいじめようとした奴が睨んだだけで気絶したというのは、ちょっとしたトラウマだ。

 今では、長い前髪で隠しているから、まだマシになっているが、一時期の恐れられようは幼かった俺の心を抉ったまま今に至っている。

 俺の一番のコンプレックスはそれ。

 兄が優しい目元をしているから、余計に。


 どう見ても兄には見えないよな、これ。


 ちょっとでも優しくなるようにと、化粧をいじってみるが、よく考えればそっち関連全く知らねえや。

 これでも女の子なのだから、勉強した方がいいのだろうか。

 でも、絶対似合わない気がするんだよな、面倒くせえ。


 今は、兄の部屋である寮の一室にいる。

 男が苦手というわけでは無いが、居心地が悪い。


 兄の反応からすると、俺がしくじっても気にしないようである。

 なるべくしないように気をつけるが、バレたら開き直るしかないだろう。

 俺は、この学校の生徒では無いのだからな。それまではちゃんとしているつもりだけど。これでも、兄を尊敬しているし。


 部屋のドアが叩かれ、誰かが入ってきた。


「ハルー、準備終わったかい?」


 こいつが、手紙に書かれていた相部屋の男か。

 彼は、猫っ毛の髪をかいて、俺の姿を見る。

 俺と同じようなスーツを着ているから、こいつも参加するようだ。


 草食系男子に見えるが、これでも多くの女子を侍らせているらしい。

 女の敵だな。俺には関係のないことであるが。


「今終わったところだ。お前こそ、終わったのか?俺が着替えている間、どこかいっていただろ」


 何時もよりも声を低く喋ってみると、兄の声にそこそこ近づいた気がしてこのまま話を進める。

 相部屋の男には、入れ替わりはばれていないようである。

 少しホッとしたが、これからが本番である。


 俺は、胸元のネクタイを締め直すと、相部屋の男と連れ立ってパーティ会場であるホールへと向かった。





ーーーーーーー


 俺は、人混みが嫌いだ。

 特に女子の視線が嫌だ。


 男装したことがないわけじゃない。

 目つきが悪いからかもともと男っぽいのか知らないが、友達なんかが文化祭や体育祭の応援合戦などでやたら男装させるのだ。


「折角似合うんだからあ、やった方がいいわよお」


 と言うのが、我が友人aの言葉である。


 その迫力が凄くて抵抗を辞めざるをえなかったのは懐かしい思い出である。

 去年の話だがな。


 俺はそのとき、女子どもの熱っぽい視線をモロに受けた。

 他クラスだから、多分俺と気付かなかったのだろう。

 あの視線がとても怖かった。

 悪夢として出て来るほどに怖かった。


 だから、今なら兄の気持ちもわかる。

 それでも、仕返しはするが。


「明日葉様ー!」

「明日葉様ーかっこいいー!」


 しかし、どうなってんだこの学校は。

 頭でもいかれてるのか。

 兄なんぞに惚れるやつの気もしれないが、俺の顔を見ただけで倒れる奴とかいて、こっちがびっくりする。


 あの兄の事だ。

 皆に優しくしているのだろう。

 現に会長に押し付けられて副生徒会長を務めているのが兄だし、少しは断ることも覚えた方がいいと思う。

 人のこと言えないけどな。


 気持ちを表情に一切出さずに兄の名前を呼ぶ女子たちに手を振っていると、突然腕を掴まれ外まで引き摺り出された。

 その間10秒。

 始まったばかりであったため外には人気はなくホッとする。

 逢引なんて噂されたら、本末転倒だからそれだけは避けたい。

 ホールの中からは、女子たちの戸惑った声が聞こえたが、原因については分からないようであった。


「ちょっと、春日」


 その声に、俺は漸く手を引いた人物を見た。

 水色のドレスを来た彼女は、顔立ちが整っていたが、目元がかなり怒ってる。

 何か粗相でもしたか、俺。

 でも、兄の名前で呼ぶってことは、ばれていないだろうけど。

 それにしても、気の強そうな女の子である。


「アンタ、デートはどうしたのよ。行かないの」


「え?」


 デート?


「とぼけているんじゃ無いわよ」


 デートか。デートって言葉、つい最近聞いた気がするな。

 あっ。


「デートな。思い出したわ。

あれ、お前は行かなくていいのか?」


 さっき気にしていたのに忘れるの早いな、俺。

 デートのこと知っているなら、こいつが兄の彼女でいいのか。


「バカね。わたしがアンタの彼女なら集合時刻に間に合わないでしょうが。

って、あなた・・・・春日じゃないのね」


 ギクっという効果音が聞こえた気がした。

 それ程に心の中で驚いたし、表情にも出ただろう。

 ああ、目の前の女子がニヤリとした。


 こんな時やけに頭が冷静なのは何でだろうか。


 確定形で言われるともう反論出来んな。

 それに、墓穴は掘ってしまった。


 腹を括るしか。


 そう思って事情を話そうと口を開くと、ホールへの出入口となっている大きなガラスの扉が開いた。


 さほど大きな音は立たなかったが、代わりに外に出た奴がとてもやかましかった。


「夏日ーーー夏日はどこだ夏日ーーーーグハッ」


 人の名前を連呼するなドアホウ。

 因みに、最後のは俺が飛び膝蹴りを食らわせたからである。

 それ程強くはやっていないが、こいつがインドア派なために起き上がってこない。


 それを見計らって、女子と話していたところまで運ぶ。


「そ、その方は、生徒会長なのだけど・・・」


 顔を青ざめながら、彼女は俺の手で引きずられている男を指差す。

 どうやら、先ほどまでの話よりもこちらの方が優先らしい。


 こいつ、兄よりも地位が上だったのか。

 初めて聞いたわそんな事実。


「まあ、言わない方が悪いよな」

「何のことかしら?」

「いや、何でもない」


 どうやら俺は、腹が立っているようである。

 こいつが何も話さないのは何時ものことだが。


「う・・・」


 目を開いた生徒会長こと霧沼賢治は、俺の顔を見るなり、頬をつまんだ。

 何だ何だ。


「何で僕に一言も無しにこのパーティに参加してるんだ。しかも、春日のコスプレまでして!」

「あのなあ、どこから突っ込んでいいか分からんが、お前に許可を得んでもこのパーティは参加出来るはずだが。

それに、俺は頼まれて仕方なく来ているだけだ。断じてコスプレなどではない。というか、コスプレっていうのかこれ」

「そういう問題じゃないだろ!女子にちやほやされて喜んでたんだろう?」

「流石にそれはない。俺は女子の視線が苦手なんだ。寧ろ吐き気がするね」


 遠い目でため息をついて見ると、奴は納得したようである。

 流石にそこいらのことは知っているわな。


「えっと、知り合いなの?生徒会長様と夏日君・・・」


 様?こいつがそんなタマだろうか。

 兄の名前にも様がついていた気がしないでもないような。

 この学校ではそれが当たり前なのか。


「そうだ!お前なに名前叫んでるんだよ!」

「な、何!僕何か」

「俺の名前がばれたらどうすんだよてめえは何を考えて」

「何を考えてって」

「こちとら兄貴のお願いで身代わりしてんだよ! それを壊すつもりだったのかお前は!」

「だから、そんな危ないことするなら僕に先に言えと!」

「危なくねえだろ」


 バレたらってことか?

 バレてもまさか妹だとは思われないから大丈夫だと思うがな。


 それに、全ての責任は兄になすりつけるしな。

 ふっ、俺カンペキ。


「いやあのね、そういうことじゃなくて・・・」


 賢治は、頭を押さえよろめいた。

 むう、つまりはどういうことだってばよ。

 俺が首を傾げていると、女子が声を上げた。

 あ、そういえば名前聞いてねえや。


「あなたたち、どういう関係なの・・・ですか」

「あ、ああ。これでも親友だよな?賢治」

「夏日。本当のことを隠すな。

まあ、簡単に言うと僕らは付き合ってるのさ」

「え、えええええええ」


 彼女は、目を見開いて叫んだ。

 何か怖いけど、とても驚いてるのは分かる。


 分かるが、そんなに驚くようなことでもないのにな。


「な、何で、お、男同士、よね・・・」


 オイオイ、何か壮絶な勘違いしてるぞこいつ!


「俺は女だ!」

「で、でも、普通女がそんな言葉遣いしないわよ」

「少年漫画に影響されただけだ。それだけなんだよ!」


 これは本当の事である。

 昔から兄の漫画を勝手に借りて読んでいたために、いつの間にかこんな口調になってしまったのだ。

 今更改める気もねえし、いざとなれば女の子口調だって出来る。こっちに慣れてしまったから、滅多にやらないが。


 おい、何笑ってんだ賢治。

 これを気に、口調を改めて見たらいいと思うよ、だあ?

 てめえふざけんな。

 この場を収拾出来んのはお前だけなんだぞ。


「・・・・・・3次元でもありかもしれない・・・顔立ちはいいものね」


「お前は腐女子だったかよ!」


 ああ、もう余計ややこしくなったよちくしょうめ。

 兄貴、残りの学校生活頑張れよ。


 俺は逃げる。挨拶したことだしもう帰っていいだろ?




ーーーーー


元気か、ハル兄。


久々に手紙を書くな。

結果報告というか、後日談になる。


俺が兄貴に変装しているとバレたのは、俺が知っている中で2人。

賢治はいいとして、あの女子の名前は知らんから、一応探しておいてくれ。

お前の彼女と友達だと言っていたから、あっちから行ってくると思うけど、先に言っておく。


あの女子には、俺のこと女だってもう一回言っておいてくれ。

賢治が男と付き合っていると噂が流れているんだろ?

賢治は面白そうだと笑っていたが、俺は勘弁だ。

目つきが悪いが、これでも一応女だから、そこらへんの事は気になるんでな。


つーか、ハル兄も人が悪いよな。

何で賢治が生徒会長だと言わなかったんだよ。

あいつが言うわけないから恥かいたじゃないか。

何で高1で生徒会長やってんのかは不問にしておくが。


賢治も元気か?最近メールでの奴の精神攻撃がねちっこくてな、元気無い方がいいが。


まあ、この位か。

俺の学校では、今のところ体育祭の準備をバックれたことはバレてない。

何で2年にやらせるんだろうな、アレ。


それじゃ、また夏休みに会おうな。

それまで身代わりとかさせんじゃねえぞ。

そうなったら、お前との連絡を全て断つ。

いいな?



P.S.

ああ、お前の筆記用具と通帳は全て戴いた。

勉強魔のお前にはちょっとは効くだろうからな。

返して欲しくば、俺に勉強を教えろ。

来週テストなんだ。

いや、別に嫌ならいいんだけどさ。



ーーーーーー


「それが君なりの仕返し、ということかな、ナツ」


 春日は、昔と変わらない夏目のバカ丸出しに手紙を見てクスッと微笑み、そしてペンたてに一本だけ刺さっていた羽ペンを取り出した。


 夏目は、羽ペンというものを知らなかった。

 だから、ただの羽がさしてあるのかと思って持っていかなかったのだ。


 そのことを既に兄は知っている。


「バ可愛いんだよね、俺の妹は」


 机の中にしまってあるインク壺を取り出し紙に手紙をしたためる。

 慣れないものを使うのは少々骨が折れたが、この位なら妹を挑発するのに役立つ。

 この手紙が届く頃には乗り込んでくるだろうな。楽しみだ。


「俺から簡単にナツを引き剥がせると思うなよ」


 一年寮にいた賢治が体を震わせたのは、ちょうどその後であった。







ノリで書いたにも関わらず、前半の部分は1月とか12月に書いたという。

あの時はラストをどうするつもりだったのだろうか。


春日と夏日は双子ですが性格が違うなと、最後しか出てきてないけど春日の方は腹黒イメージ。

そう考えると、夏日は腹黒が好きなのだろうか。


誤字脱字は報告願います。



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