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ルナ ~銀の月明かりの下で~  作者: あかつき翔
3章 内なる闇、秘められた過去
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悪夢の中で

 真夜中、ギルドの一室。






「……う、うう……」



 もう嫌だ……もう、止めてくれ。



(お前が奴らを呼んだに違いない! お前のせいで!)



「……ち、違う。俺は……」



 俺のせいじゃない。俺は、何もしていないのに。



(消えろ。もうここには来るな、気味が悪い!)



(怖いよ……こっちに来ないで!)



「止めて、くれ……どうして……!」



 何でだよ……? 何で、みんな、俺を避けるんだ……俺はただ……みんなを……。



(あっちに行け、バケモノ!)



(殺してやる。お前なんか、死んでしまえ!)



 石を投げられた。殴られた。蹴られた。何度も、何度も、何度も。

 嫌だ……もう許してくれ。俺は……俺は……。




(止めろ……来るな! みんなに近寄るな……この、がああぁ!!)



 ちがう。ちがう、んだ。しんじて、くれ。

 おれは、おれは、ただ――









「……はッ!!」


 俺は悲鳴のように叫ぶと、ベッドから飛び起きる。……ベッド?


「はあッ、はあッ……はあっ……?」


 呼吸が酷く荒れていた。全身が汗だくで気持ち悪い。俺はしばらく、呼吸を整えるしかできなかった。

 辺りを見渡してみる。見慣れた部屋。見慣れた家具。どう見ても、俺の部屋だ。そこまで経って、ようやく思考が回ってきた。


「……夢、か……」


 思わず、長い溜め息をついた。窓から入ってくる風が、汗に濡れた身体を冷ます。


 時間を確認すると、午前2時。少し、声が出ちまった気がするが……みんなに聞かれてはいないだろうか?

 少し不安になったが、誰も部屋に来たりはしないし、大丈夫みたいだ。



 ――ふと、自分が泣いていたことに気付く。



「悪魔、か……」


 そんなこと……今さら言われなくたって、分かってるよ。

 何も違わない。あの時、俺が何もかも、壊したんだから。あれは全部、俺のせい。当然の報いだったんだ。


 ……それなのに、なんで涙が出るんだろうな。


「……はは」


 俺は自分への嘲笑を漏らすと、風にあたるために、こっそり外へと抜け出していった。




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