絡み合う運命の糸
「………………」
みんながバストールに旅立った翌日。俺はベッドに横になり、携帯の画面を眺めていた。
向こうに着いた後、瑠奈から連絡はあった。電話の向こうの声は元気で、上手くやっていけそうだと言っていた。
他のみんなも、心配すんな、とか、任せとけ、とか……口々に、俺を安心させようとしていた。
だけど……それでも、不安は拭えない。
みんなの顔を見たい。直接、声を聞きたい。みんなが……瑠奈がそばにいない、今の状況に耐えられない。
「……これじゃ、シスコンって呼ばれても……しょうがねえな」
自然と、自分への嘲笑が漏れる。
人に言われるまでもなく分かっていた。俺が昔から瑠奈に依存していた事は。それは当然、あいつが大切だからでもある。でも、それ以外にも……きっと、そうしないと不安だったから。
俺は瑠奈を妹として可愛がる事で、自分とあいつが兄妹だって事を認識したかった。そうする事で、家の中で自分が家族だと思える場所を……俺の居場所を作りたかった。そんな打算が、自己中な理由が、確かに俺の中にはあったんだ。
「……俺、馬鹿だよな」
それは、自分から父さん達との壁を作ることに他ならなかった。瑠奈だけに居場所を求めて、父さんから逃げていたところもあるから。
俺はこれから、その壁を壊さないといけない。俺が本当に家族の一員になった時……俺はようやく、瑠奈を純粋に妹として愛する事が出来ると思う。
バストールの事は気になる。けど、俺は自分の事を終わらせなきゃならないんだよな。――そう、結論付けようとした時だった。
「綾瀬 暁斗」
「ッ!?」
突如として聞こえた不審な声に、俺は飛び起きる。部屋の窓は全開だった。そして、俺の目の前にいたのは……
「あ、あんたは……!?」
俺の様子など気にも留めずに、目の前の人物は、無機質な声で俺に告げる。
「お前に、面白い話をしてやろう」
「………………」
話が終わった後……俺はただ、茫然と立ち尽くす事しか出来なかった。対する相手は、ただ事務的に告げる。
「これを聞いて……どうするかは、お前の自由だ」
「……俺は……」
今の話が意味する事は……仮にこの話が真実とするなら。俺は、いったい……俺は……俺が、やるべき事は――
そして……
「暁斗、夕食の準備が……暁斗?」
綾瀬 暁斗は……この日、エルリアから姿を消した。