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ルナ ~銀の月明かりの下で~  作者: あかつき翔
4章 暁の銃声、心の旋律
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戦いの意味

(どうやら()()()()が入ったようだな)


 その戦闘を伺っていたアインは、ジョシュアの様子にそう結論付ける。ダメージは決して軽くない。動きには間違いなく支障が出るだろう。しかし、その闘志は衰えるどころか、危険な方向に燃え上がっている。


(PSは意思の力。強い感情は、時に限界を超えた力すら発現させる。それがどのような感情であろうとな)


 冷静さを欠けば、判断のミスが増えるのは間違いなく、それは戦闘において致命的な隙となりかねない。だが、その一方で、激情に高まったPSが戦局を左右する事もまた、珍しい話ではないのだ。


(技術では、クリードやクライヴには及ばない。しかし、タフネス、爆発力、そして広域殲滅能力に関しては、あの二人やこの身をも上回っていると言っても良いだろう)


 クリードの力は、不意打ちや一騎討ちにおいて無類の強さを見せる。そして、ジョシュアが本領を発揮するのは、多数を相手取った集団戦。相手を殲滅する戦いだ。


(どうなろうと、手出しの命が下っていない以上、観察するだけではあるが。果たして、どちらに転ぶか……他の戦いと共に、見極めさせてもらおう)


 眼前のモニターに映し出された、各区画での戦い。同時に異なる映像を視認し、そこに含まれた情報を決して欠かすことのない、異常なまでの処理能力。その瞳に、感情は僅かにも含まれていなかった。









「くく……全く。どいつも、こいつも。俺を、虚仮にしてくれる」


 ジョシュアの目は、完全に血走っていた。何かが切れたってはっきりと分かるその様子に、俺は思わず後ずさる。


「違うだろう? 貴様らは、黙って蹂躙されていればいいんだ。抵抗など、許可した記憶は無いんだよ」


「お前、何を……」


「点数稼ぎもある、少しは依頼主の意向に従って情けをかけてやろうかとも思ったが……止めだ。そんなものは俺の流儀じゃない。シンプルで、いい」


 中空に向かってそう呟くと――ジョシュアは、改めてオレ達を見た。落ち着いた、と言うよりは……()()()()()()()()って印象だった。だらりと垂れた右腕は、気にする素振りも見せない。


「小僧ども、さっきの攻撃は誉めてやる。だが、少々調子に乗りすぎだ」


 さっきと同じ……いや、さっきよりも狂暴な笑みを浮かべる亀人。どこか遊びがあったさっきと違って、そこから感じるのは、はっきりとした殺意だ。


「ズタボロにしてやろう。徹底的にな!!」


 そして、再び赤い力が弾けていく。何だか嫌な予感がして、オレは余裕をもってそれを回避する。ワンテンポ遅れて、エネルギーが回転を始める。


「……?」


 何かおかしい、という違和感はすぐにあった。自分が回避した渦を注意深く眺め……気付く。


 何だありゃ。上と下で、回転の向きが違う?


「っと!」


 いけねえ、じっくり見てる場合じゃねえ。次の回転の発生に気付いて、大きく飛び退く。どうにも、オレは一番の標的にされたみてえだ。さっきの攻撃が余程ムカついたってか。けど、ならオレに引き付けちまえばみんなが動きやすくなるか。


「オッサンにアプローチされても、嬉しくも何ともねえっつーの!」


「まだ余裕があるようだな。だが、俺が見たいのは……恐怖に震える顔でな!」


「趣味が悪いぜ、オッサン……うぉ!」


 今度は……縦回転かよ! 今までと違う形にちょっと戸惑いはしたが、面積的にはこっちのが避けやすい。横に飛んでそれを避け……て。



 …………な。


「え……!?」


 後ろにいた飛鳥が声を上げた。でも、無理はねえ。と言うか、ちょっと待て……これは。


「な……んだよ、これ!?」


 避けるのを失敗した訳じゃねえ。確かに、ちゃんと回避は出来たんだ。問題は、その後。

 先程までオレが立っていた場所とジョシュア、その直線上の地面が――()()()()()いた。


「地面ごと回転に巻き込んだ……!?」


 いや、違う。確かに根本的にはそれも出来るからこその芸当なんだろうけど、地面を巻き込んで回転させてると言うより、あの跡は切り裂いたみたいな……まさか。


「逆回転を重ねて、引きちぎってやがんのか!?」


「ははっ、正解だ! さあ、種に気付いたところで、どう抗う!?」


 あんなもん、まともに喰らえば身体が千切れるのは間違いねえ……冗談じゃねえぞ! 掠めることもできなくなりやがった……!


「そうだ、それだよ……その恐怖にひきつった顔を見るのが、一番楽しいんだ!」


「っ……!」


「くく……ふははははは!! さあ、もっと逃げ惑え!」


 野郎、完全にネジが飛んでやがる。よっぽどプライドが傷付いたらしいけど、こっちとしてはたまったもんじゃねえ。

 だけど、その分攻撃は大振りだ。軽く巻き込まれるだけで命取りになるんだ、冷静に対処していかねえと。……怖えけど、震えてる場合じゃねえ。あの時は、カイが勇気づけてくれた。今回は、オレの力で……!


「そらそら、渦だけではないぞ! こんなのはどうだ?」


 挑発するようにそう言ってから、ジョシュアが投げつけてきたもの……あれは、手榴弾かよ!?


「う、うわ!?」


 予想通りだった。間一髪、爆風には巻き込まれなかったけど、衝撃波と熱はある程度受けちまう。それに足を止めていると、正面から突っ込んできたやつがいた。トカゲのUDBか!


「周囲を見ねば、足を掬われるぞ!」


「こ、この! ……っ!?」


 何とか弾き返して、後ろに下がり――背筋が、この上なくぞくりとした。自分がさっきまでいた地点と……トカゲが、まとめて赤いスパークの中に入っている事に気付いたからだ。


「よ、避けろぉっ!!」


「は……?」


 敵だと言うことを考える前に叫んだけど、とても間に合わなかった。多分、自分でも何が起こったか分からなかったんだろう、常に冷静だったハズのトカゲが、放心したような声を出す。でも、次の瞬間にはその顔に、この上ない苦悶の表情が浮かんでいた。


「ぎぃ!? が、ぁ……!! ……ッ……」


 悲痛な叫び声が上がったのは、本当に一瞬だった。巻き込まれた胴体の部分が一気に引きちぎれ、大量に血が飛び散った。そいつは勢いに持ち上げられてから、そのまま地面に叩き付けられた。


「あ……」


『…………!!』


「ちっ、間抜けが。道連れにすることも出来んとはな!」


 舌打ちする亀人の言葉は、あまりにも冷たくて。……おい。どういう、ことだよ。何で、そんな……。


「何なんだよそれ……何やってんだよ、テメエェッ!!」


 倒れたUDBは、ぴくりとも動かない。腹がめちゃくちゃに裂けて、おびただしい出血をしてるそいつは、どう見ても即死していた。


「おかしな奴だ、何故怒る? そこで死んだのは、貴様の敵だぞ?」


「だけど、テメエからしたら仲間だろ!? あいつはテメエの指示に従って戦ってくれてたんじゃねえか! それなのに!!」


「仲間? 仲間だと? 笑わせるな! そいつらはUDB、人類の敵! それを利用して造られた、ただの道具に過ぎん! それをどう使おうが俺の勝手だ!」


 道具、だって? そりゃ、UDBは人類からしたら、こいつの言う通りに敵だ。だけど……それでも!


「ふざけんじゃねえ! 使われて、最期まで見下されて……そいつらだって生きてんだぞ! 何で、自分が遣えてた相手に殺されなきゃいけねえんだよ!!」


「おかしな事を。俺が殺そうが、貴様たちに殺されようが、死ねば同じ事だろう? 貴様たちとて、UDBを殺した事が無い訳ではあるまい」


「同じじゃねえよ! 戦って死ぬのはマシだ、とは言わねえ……でも! 背中を預けてた仲間に殺されるとか、そんなの……メチャクチャすぎんだろ!?」


 本気で理解が出来ない、そんな様子でジョシュアは答える。逆に、オレはこいつの言葉が受け入れられない。


「背中を預けていた? ……繰り返すが、それに何の意味がある。敵に殺されようが、味方に殺されようが、満足して死のうが、絶望のうちに死のうが、訪れるのは死。そして、死ねばそいつの全ては無意味だ」


「っ! 無意味、無意味だって!? お前は、死んだらそいつのやってきたことが何もかも消えちまうって言うのかよ! そいつの気持ちとか、そういうものを……そんな簡単に切り捨てちまうのかよ!? 味方に殺されるとか、最期にどんだけ辛いと思ってんだ!!」


「…………ふ。くくく……」


 オレの言葉を聞いたジョシュアは、我慢の限界って言いたげに笑い始めた。


「くく、はははは。甘い連中だとは思っていたが、ここまでとはな……あまりふざけてくれるなよ、小僧!!」


 怒号と共に飛んでくる銃弾。今度はPSじゃなくて銃剣で受け止める。温存のためには、避けれるなら普通に避けた方がいい。


「貴様は戦いに何を求めているんだ? ここには、生きるか死ぬか、それしかない。それ以外は、全て無意味だ! そして、俺にとっては俺が全て! 俺が生きるかどうか、重要なのはそれだけだ!」


 少しずつ、あいつの言葉にも熱がこもり始めている気がした。予想外に粘られて苛立っているんだろうか。それか、オレと同じで、あいつにとってもオレ達の言葉は受け入れられないものだからか。


「仲間? そんなものは、利用し合う関係を綺麗な言葉で飾っただけのまやかしだ! 下らない……馴れ合いなど、何の役にも立ちはしないんだよ!」


「そんな事……!」


「結局は独りなんだよ、誰だってな! 騙し合い、利用し合い……そうやって俺は生きてきた。これからもだ!」


 再び生まれる必殺の渦。あいつの感情が高ぶってるからなのか、さっきまでと比べてさらに大きく、同時に遅く、大振りにもなっていた。でも、あのUDBの無惨な死体を見れば、掠るだけでも即死しかねないってのは分かる。


「おい、お前ら! お前らもこれでいいのか!? あいつは、お前らの命を何とも思ってねえんだぞ!」


「っ……元より、死ぬのは覚悟の上、主の命に従っているのだから本望だ……!」


『ソウダ、ソレガ我ラノ意味……ダガ……イヤ、余計ナ事ヲ考エル必要ハナイ!』


「ふん、逃げるならば勝手にしてもいいぞ? 代わりに、その瞬間に敵と見なしてやるがな!」


「あ、あなたは……!」


 生き残っているUDB達の声には、言葉と裏腹に、躊躇いや恐怖が混じってた。ノックスは、ガル達と工場で戦ったのが、初めての実戦だと言ってた。もしこいつらもそうだとしたら……実際に仲間の死に様を見せられるのは初めてなんだろう。それも、あんな惨たらしいものを。あいつらの士気は間違いなく下がってる。


「そうまでして、勝ちてえのかよ! 自分の力になってくれるやつですら、仲間じゃなくて道具として使ってまで!」


「ああ、そうだ! 俺にとって、負けとは死だ。どれだけ御託を並べようが、死ねば何も残りはしない! だからこそ、何をしてでも俺は勝ち続けねばならんのだ!!」


 何かが放り投げられる。さっきの手榴弾だとすぐ気付き、オレはPSでそれを静止させ、安全なところまで逃れてから解除した。そして、爆風に紛れて発生する大回転。

 隙を見て他のみんなを伺う。気が付くと、オレはかなり突出してたみたいだ。だけど、後に引いてる場合じゃない。


「俺は生き延びる! 他ならぬ俺の力で! そして、利用される側じゃない、する側になってやる! だから……貴様たちには、ここでその踏み台になってもらうぞ!!」


 こいつが今までどんな人生を送って、どんな事を体験してきたのか……オレには、想像しか出来ない。きっとこの考えも、こいつの一生で学んできた結果、なんだろう。それは、分かる。


 だけど、オレはそれを認められない。


「お前の言う通り、オレは甘ったれたガキだよ。お前から見たら、理想ばっか吐いてる、世間知らずなんだろうさ。だけど……」


 仲間はまやかしだって、こいつは言ったな。

 大会の時、瑠奈のためにみんなでオレ達が飛び込んだように。()()()からずっと……オレを助けてくれた、みんなのように。オレは、助け合って生きてきた。そうやって、生きてこれた。

 オレ達は、お互いを道具にしてきたってのか? ルナやレン、カイにとって、オレは道具で、オレは逆にみんなを道具として扱ってるのか?


 そんな筈ねえだろ。言い訳だとか、理屈とかじゃなくて……オレ達の間にあるものは!


「まやかしだなんて、言わせねえ! オレの周りにある、友達とか仲間とか家族とか、オレ達が戦う理由……そういうもんまで全部! そんな簡単に否定なんか、させてたまるかよぉっ!!」


 オレだって負けられない。下らなくなんてない。それを、あいつに証明してやる!!


「いつまでも戯れ言ばかり鬱陶しいんだよ! とっとと、千切れろ!!」


 しびれを切らしたのは、向こうも一緒みたいだ。今までになく、力が高まっていく。あいつの周囲に、途方もなく巨大な渦の前兆が見え始めた。そしてオレは、完全にその中に取り残されている。逃げ道は、ない。


「だったら……!」


 逃げられねえのなら、全力で突っ込む。オレも、PSを全開に!


 時間加速を使うとき、オレは意識的にリミッターをかけてる。ただでさえ、人ひとりなんて対象に能力を作用させるのは消耗が激しくなるのに、出力まで上げちまうと身体への負担が大変な事になるからだ。

 だから、オレの加速はせいぜい2倍……加速能力として見ればそれほどじゃない。暁兄の幻影神速はもちろん、色んなやつに負けるだろう。

 だけど、それ以上が出来ることをオレは知ってた。まさしく諸刃の剣、実際にやればどうなるかは分からない。少なくとも、一発限りの勝負になるのは間違いねえ。だけど。


 2倍。3倍。まだ足りない……もう、出来るとこまでだ! 一瞬でいい。時の歯車――オレに力をくれ! あいつが渦を生みきる前に、あいつの懐へ!


「な……に!?」


 左脚が、少しだけ巻き込まれる。だけど、オレの時間が早くなってるってのは、相対的に回転の勢いが落ちてるって事で、必殺の筈だった渦の威力は大幅に落ちていた。それでも引き絞られるような痛みがあったけど、千切れはしなかった。そして、オレは――渦の内側へ。


「おおおおおおおぉッ!!」


 目の前には、能力の展開で無防備になっているジョシュア。もう、考えている場合じゃない。オレは渾身の力を込めて、銃剣を叩き付けた。


「くっ……!」


 加速を解き、力勝負。片腕が折れ、ダメージの残ったあいつには、さっきほどの力はない。負けられない。オレは、絶対に……!


「負けて、たまるかぁっ!」


「どこまでも……調子に、乗るな!!」


 だけど、こいつに対しての押し合いがどうなるかは、さっき体験したばかりだった。

 大回転を解除したジョシュアは、さっきと同じく、オレの身体を回転させたらしい。気が付くと、オレはまた投げられていた。


「う、ぐっ!?」


 まずいと言うことは反射的に理解して、何とか起き上がろうとする。だけど、全身に力が入らなかった。く、反動、が……!?


「っ……!?」



 ――それは、オレが思っていたよりも遥かに強烈な苦しみとして、容赦なく襲い掛かってきた。



「う、ぐぁ、あっ! あ、あぁ……か、うぐっ!!」


 やべえ。何だよ、これ。息が、できねえ。世界が回ってる。吐き気がする。頭が割れる、すごく痛い。心臓が、破裂しそうなほど荒れ狂ってる。いつもの倍々、なんて単純な話じゃ、なかった。こ、ここまで、返ってくる、のかよ……。


「ぐ、は……あ、うぅ……う、げほっ……!」


「はあ、はあ……死ね……!」


 堪える間もなく、胃の中身を全部吐いてしまう。駄目だ、苦しい……とても、耐えられない。

 向こうもPSの使いすぎのせいか、かなり息が上がってた。今度は余裕も見せず、ジョシュアは銃口を向けてきた。だけど、時の歯車は、全く反応しない。



 ……これ。もしかしなくても、やばい、のかな。

 オレは、まだ……ちくしょう、あと少しでいいんだ……動いて、動いてくれ……!



「がはぁっ!?」


 ……すんでのところで。ジョシュアが、悲鳴を上げて吹き飛ばされた。


「調子に乗っているのは貴様だ。そろそろ、報いを受けてもらうぞ」


 そんな、怒りを含んだ、だけど元は少年のものである声。亀人に叩き付けた鎚を構え直しながら、そいつはオレとジョシュアの間に立ちはだかった。


「ふ、フィ、オ……!」


「ごめんよ、少し手間取った。でも、もう大丈夫だ」


「ふ、ざ、けるな! 大丈夫だと? 報いだと!? そのようなもの、認めてたまるか……俺は、まだ終わらん!」


「いえ……あなたは、終わりです!」


 ジョシュアが気付いた時には、もう遅かった。あいつの後ろから伸びた鎖が、一気に奴をがんじがらめにする。そして、電流を纏った飛鳥の銃弾が、奴の両足を撃ち抜いた。


「があぁ……!?」


「チェックメイト、というやつ。逃げ場はもうない」


 そう、か。オレに集中して大渦を解除したんだから、みんながこっちに来る障害も無くなったって事だ。どうやら、残るUDB達も倒しているみてえだ。


「こんな、こんな事があってたまるか! 逃げ場だと!? ふざけるな……何故、俺が!!」


「無駄に感情を昂らせて隙を見せた事が、あなたの敗因」


「う、ぐは……黙れ、ェ! 貴様らごときが、俺を……見下すなああぁ!!」


 激昂したジョシュアは、全員を巻き込んでPSを発動させようとする。

 だけど、それが実際に破壊の渦となる事は、無かった。奴の死角から飛び込んだアトラが、PSを乗せた渾身のトンファーを土手っ腹に叩き付けたからだ。


「ガ、フっ……」


「往生際がわりいんだよ、オッサン。大人しく寝とけ」


 アトラの攻撃が持ってる破壊力を受ければ、いくらタフなあいつでも耐えられるはずがなかった。血の混じったものを吐いて、ジョシュアはそのまま地面に力なく倒れた。起き上がる気配は、ない。


「……ふう。フィオ!」


「分かってる。みんなは浩輝を!」


 ジョシュアが完全に沈黙したのは間違いない。すぐに、フィオが取り出した拘束具を奴の腕につけてく……終わった。そう思って気が抜けた途端、急激に、目の前が暗くなっていく。


「……う……」


 みんなは倒れたままのオレの周りに集まってきてる、みたい、だけど……それに応えるのは、ちょっと……無理そうだった。


「こ、浩輝くんっ!」


「おい、浩輝!? しっかりしろよ!」


 みんなの声が、遠い……駄目だ。すごく、眠い――




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