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その○○、シリーズ

その転生、物語通りですか?

作者: 月森香苗
掲載日:2026/08/21

さくっと読める掌編シリーズ。

①~⑤まであります。

※今回の話は全て『異世界転生』ものです。


――――――――――――

①悪役令嬢は平民になれるのか

――――――――――――


 異世界に転生した。そして明らかに高校生の時に熱中して読み込んだ漫画の悪役令嬢ポジションだった。

 これが漫画や小説ならば断罪されないために立ち振る舞い、逃げ出して平民になるということもあるだろう。

 それが魔法のある世界ならば私だって一考したけれど、それでも私はやはり逃げない道を選んだだろう。

 何故って、全部使用人がしてくれるから。

 朝起きてから寝るまで、私の生活の殆どは使用人が準備などをしてくれる。

 豪勢な食事も、着るのが大変なドレスも、入浴も、散歩の時に日傘をさすのも、何もかも使用人がしてくれる、こんな楽なことはあるだろうか。

 教育を受けることは自分でしなければならないけれど、掃除洗濯料理など面倒な「家事」は全てやってくれる。

 美しさを維持するためのマッサージやヘアセット、メイクも全部おまかせ。

 これらを捨てて平民になるなんて馬鹿げているわ。

 そもそもの話、文化レベルが低いからか、井戸から水を汲み上げ、薪に火をつけるのは火打石を使い、布の質が違いすぎて平民用はごわごわとしている。

 料理ひとつにしても絶対に苦労することがわかっているのに、これらの生活を捨てるなんてしたくないわ。


 善人のように振る舞うことも悪人のような言動も全部お断り。

 つまり、私は公爵令嬢として相応の振る舞いをするだけ。

 善人ぶってみんな誰もがおなじよ、なんてアホなことは言わない。身分社会の否定は貴族としてありえない。

 かと言って悪役ぶるのも無駄な労力でしかない。

 婚約者が王子なのは面倒だけど、彼がどこぞの誰かに恋をするならそれはそれで構わない。こちらは婚約の解消でも構わないのだから。

 ただね、このスタンスを変えずに愚痴りだした王子の話を聞いて適当に相槌を打ち、適当に甘える時は甘え、面倒だから彼の仕事を全部手伝うなんてことをせずに適当にやっていたら。

 まあ、何というか他に恋する前に私に対してデレデレし始めたのには驚いた。何だこの男は。よく分からない。

 だけどまあ、今の状態もまあ悪くは無いだろう。

 あの漫画、確かに熱中したけど途中で読むのやめたんだよね。

 途中まではヒロインは王子と恋に落ち、悪役令嬢が出てきて処罰され、そこでハッピーエンドだと思うじゃん。そしたら違うのよ。王子は当て馬で本命が別に出てきたわけ。

 読んでるこちらとしては、悪役令嬢から王子ゲット、やったね!って状態だったのに裏切られたわけよ。いや、王子捨てるなら悪役令嬢ちゃん何のために処罰されたの?お前が出てこなければ普通に結婚してたはずやん?ってなるじゃん。多分、作者は王道を描けとか言われて王道王子のビジュアルにしたんだと思う。でも癖は違った。

 人気出たし、やはり好みのキャラで描きたくなったんだと思う。だって力の入れ方違ったし。

 実は本命違いました。悪役令嬢ちゃんは無駄処罰でした、となれば荒れた。荒れまくった。本命の男のところで出てきた新たな悪役令嬢をより悪辣にしてこちらの方が見応えあるよ、にしたかったのかもしれない。

 だけど、途中から現れる大本命。それまで本命だったはずの王子は当て馬で最初の悪役令嬢ちゃんが可哀想になるのは無理もない話。

 で、打ち切り。私は大本命出てきた時に断念した。そりゃひどいよ。

 なので、王子が私にデロデロのデレデレで惚れ込んでくれているから、ヒロインに目移りしないだろう。

 初めての出会いは王宮舞踏会で、「私」から逃げるようにホールへ行ってそこで出会うんだけど、王子は私から離れないのだから。ぴったりくっついて私しか見てない。視線が痛い。

 まあ、取り敢えず、平民生活は無理な私は今を無難に生きるわ。



――――――――――――

②果たしてチートになれるのか

――――――――――――


 異世界転生したらチートで無双。

 そんな漫画や小説はよく見た。でもな、製造チートは無理だ。

 記憶を取り戻す年齢にもよるけれど、人間の記憶は薄れるものだ。例え人生をかけて得たものでも、五年や十年の空きがあれば記憶は薄れていく。

 何かしらに触れているならばまだしも、生きるのに精一杯。その世界に馴染むまでに学ぶことの方が記憶の大半を占めるから、前世の記憶なんてものは朧気にしか思い出せないもんだ。

 仮に覚えていても完璧に工程を覚えていられるか?

 動画サイトで作り方を見て、それを見ながら石鹸作ったことがあるとしてだ。きっちり分量とか覚えてるか?見ながら作ってる時には作る過程に集中してたんじゃねぇの?


 だから、余程記憶力がいいやつでも俺はチートは無理だと思う。

 ただ、内政チートはワンチャン。あれは漠然とした感覚でも何とかなる。多分。すくなくとも今の非効率的なやり方を変えれば何とかなる。

 ただ、子供には無理だろう。すくなくとも社会人経験の中でも特に事務仕事っつーか内側でどう人が動くかの管理方面の経験がないと難しいと思う。

 書類の作り方だって果たしてただの学生とかが万全に出来るかって話。

 そりゃあ出来るやつもいるだろうけど、異世界転生ヒャッハー、チート出来んじゃね、とか考えるようなやつは天才様では無いだろう。


 ぶっちゃけ、出る杭は打たれるし下手に目立つよりも人を裏から操った方が楽だと思うんだよな。

 チート系作品って「目立ちたくない」と言いながら目立つやり方選ぶだろ?まあ、そりゃあその方が盛り上がるからな。

 だけど多分本当に頭がいいやつは表に出てこないし、誰かを使って自分は安置にいる。

 平穏で安全で子供一人で歩かせても大丈夫な危機管理が薄い日本に生きてたらあんま分かんないけど、少なくとも俺がいる世界は身分社会で貴族の中でも激しい権力争いがあり、毒殺暗殺お手のもの、って感じだからガキが目立つのは死ぬことと同じだ。


 結論。

 製造チートは頭の出来次第。

 内政チートはやろうと思えば出来るけど自分でやらん方がいい。



――――――――――――

③ヒロインがその役目を放棄したらどうなるか

――――――――――――


 自分がヒロインだと気付いた時、真っ先に考えたことはただ一つ。


「王都の学園に入学しない。これ一択でしょ」


 学問国家とも言われるくらいに教育に力を入れている我が国には、王都にとても大きな貴族学園や平民が通える学舎がある。

 しかし、地方にだって貴族向けの学舎はあるのだ。

 王都の学園に通うのはいわゆる中央貴族と呼ばれる政治関係に強い貴族の子供で、地方から入学する場合は、それこそ王城勤務を狙っていたり、中央貴族と結婚したい場合。

 それに対して地方貴族と呼ばれる場所の子供で中央に興味が無い場合は、その地域で一番大きな学舎に通うことが多い。

 私の場合は、辺境伯家が近いので領都に住む親戚の家に居候して通うことにした。

 ゲームだと理由は分からないけれど王都の学園に入学していたけれど、よく良く考えれば、我が家は地方の男爵家で別に中央貴族と縁付く必要も無い。

 それよりは地方学舎で交流する人を増やした方が必要なことだと思う。

 なーんでゲームヒロインは王都行ったんだろう。まあ、ゲーム設定だからか。

 けどさ、王子も公爵令息もあれもこれも、話が合わないと思うのよね。だって学問国家でも魔獣は出てくるわけよ。それを防御してるのは地方なわけで。

 こちらで求められているのは魔獣の生態や討伐知識なわけ。

 王都では魔術学校は別に存在しているみたいだけど、辺境伯領では統合されている。魔術も剣術も何もかもが必要なんだよね。生き残りたいなら。


 ゲームだと、恋にときめき、ハプニングで現れる魔獣退治で愛が生まれるけれど、こちらは命懸けなんだわ。

 なので申し訳ないけれど、ヒロインの役割は放棄します!



 三年後、王都の学園に行っていた辺境伯家の三男が意気消沈で戻ってきたらしい。話によると、どこぞの男爵家の娘が王子とか高位貴族の令息を誑かしてその婚約者たちと泥沼になったそうだ。

 男爵家の娘は危険な薬を使っていたようで処刑されるのでは、とかなんとか。そんな話を又聞きで聞いた。

 ヒロインの私がいなくてもヒロインに成り代わった人がいたようだ。つまり、その子も転生者。うーん、穴埋めしなくても良かったんじゃない?

 ゲームヒロインはなんだかんだ純粋で下心がなかった、その時を一生懸命生きてたわけで、先のことを知っていると下心と打算しかないないわけじゃない?

 それ、ヒロインじゃないよね。だから私は放棄したんだけど。


 ま、いっか。私は子爵家の男の子と仲良くなってお付き合いをして、婚約したので。へへ。魔獣討伐がデートなんてスリリングだよね。

 やっぱさ、価値観が同じ方が安心出来るよねー。



――――――――――――

④攻略対象者になってしまったらどうするか

――――――――――――


 姉がはまりまくっていた乙女ゲームの攻略対象に転生した。なんでわかったかって言うと、途中で育成をやらされたからだ。

 その中の一人、王弟の息子である公爵令息として生まれた俺は攻略対象だった。

 俺のルートは婚約者が悪役令嬢というかライバルポジだったけどさ。


 俺、ヒロインよりも婚約者の方が好み。

 こう、スタイル抜群で、大人っぽくて、素直になれなくてきゅっと唇を噛み締めるところが可愛すぎるんだわ。後やっぱ胸デカイの大事だよな。

 ヒロインは無難が一番なのか顔は可愛いけどスタイル的にイマイチというかなんというか……なあ?


 てなわけで、婚約者のリエラ好みの溺愛モードをフル活用して今日もドロドロのデロデロに甘やかしては顔を真っ赤にしているのを堪能する。はー、可愛すぎる。

 最初は戸惑っていたし、淑女らしく澄ましていたけれど、最近は時々笑顔を見せてくれるようになったからこれはもう溺愛しかないだろう。

 ゲームの「俺」は婚約者と不仲だった。厳しい「俺」と真面目すぎる婚約者の相性が悪すぎた。

 だけど、これは俺が溺愛すれば解決出来る話だったのだ。真面目すぎる彼女なのだから、肩の力をぬかせるのは俺の役目だろう。

 攻略対象だけあって顔はとても良いと思う。従兄弟の王子も攻略対象であれも顔がいい。正統派金髪碧眼。

 それに対して俺は銀髪紫眼のクールポジなわけだ。基本他にはクールな対応だけど、婚約者にだけは笑顔も溺愛も向ける。だって可愛いんだもん。


 学園物で入学してからヒロインが来て俺にもアプローチ始めたけどガン無視。だって俺には溺愛の婚約者がいるからな。

 つぅかさ、多分あのヒロインも転生者だよなぁ。俺が婚約者とイチャイチャしてたら「え、なんで」とか言ってたし。

 現地産ではなく転生者なら無視一択。

 因みに、俺の溺愛につられて王子も婚約者一筋だし、ほかの攻略対象者もな。

 男たるもの、婚約者を幸せに出来ないで誰を幸せに出来る。って言い続けたし。

 性格悪そうなヒロインに引っ掛かるような奴らじゃないし、自分だけが知る婚約者の可愛いところ、を持ってる男はな、裏切らねぇんだよ。

 残念だったな。



――――――――――――

⑤ヒロインの相手役の親になったらどうするか

――――――――――――


 即位十周年式典の際、あー、ここってもしかして漫画の世界では?と思ったのだ。

 前世の記憶があることは誰にも言ったことがない。当たり前だ。下手をすれば狂人扱いされる。

 ただの王子時代に蘇った記憶。周囲にも誰にも覚えがないから漫画のようなことはないのか、と思いながら婚約者と円満な関係のまま結婚し、十八歳で王太子となった。それから二年ほどして国王である父親が病を得て斃れ、さらに五年後、治療の甲斐なく亡くなった後、弱冠二十五歳の国王が誕生してしまった。

 父の治世は可もなく不可もなく。戦争は曾祖父時代には終結し、それなりに平和を維持していた。

 転生者の心がそわりと「ここでドカンと改革でも」と疼いたが、そんな余裕はなかった。本来ならもっと時間をかけて父から引き継ぐはずの政務をこなすだけで精一杯。

 本来なら結婚してすぐにでも子作りをしなければならなかったのだが、まずは王太子として地盤を固めよう。なに、三年もあればなんて妃と話をして議会も了承していたのだが。

 父が病に伏せば公務はこちらの仕事で、母である王妃と妃の三人に宰相やら様々な人間と奔走していると「子作りの余裕が無い!今は無理!」となるのはやむなし。

 そして父が亡くなってしまった時には二人揃って二十五歳。流石に妃の体のことを考えるとこれ以上引き伸ばしは出来ないと、王太后になった母はまだまだ若いのもあり協力してもらいながら子作りをして、幸いにもすぐに妊娠してくれた妃に感謝した。

 王妃の懐妊はそりゃあ盛大に祝福され、悪阻が酷いタイプで動けないのだからとにかく休んでくれと頼み込み、使えそうな人員を増やして母と二人で政務をこなしていった。

 正直、当時の記憶は曖昧である。

 子供が産まれたからとすぐには復帰させなかった。前世の記憶があるので、産後は全治交通事故並みの負傷。最低でも二ヶ月は絶対安静。

 子供は乳母に委ねながらも触れ合う時間を多めに取ってもらった。

 性別はどちらでも良かったのだが、男の子だったのでそりゃあもう祭りである。

 半年後に「働かせてください……何もやることがないのが苦痛で……」と嘆く妃は社畜精神でも持っているのか、と思いながら時短勤務から始めてもらい、一年後には完全に公務に復活し、こちらの余裕も出来た。

 子供がひとりなのと年齢から側室の話も出たけれど、前世の倫理観のせいで側室に拒絶反応があり、どうしてもって言うなら弟の子供に王位継承権を持たせることになった。

 で、即位十周年の式典で見てしまったのだ。ピンク髪の女性を。あれは、ヒロインだ。妹が読んでいた漫画のヒロインだ!と気付いた。

 だが、彼女の物語は始まらないことも理解した。


 その漫画のヒロインは学園で王子に出会う。その王子は側室の子供なのだが第一王子なので王太子になることが決まっている。王妃からは命を狙われているし、母は現王妃を殺して自分が王妃になろうとしている。

 国王と側室は学園で出会い真実の愛で結ばれたが、身分が低かったので王妃を娶るしかなく、側室となった。結婚してすぐに召し上げ、側室を妊娠させ、生まれたのが王子だった。

 生きていたいけれど生きてて良いのか分からない。そんな王子を支えるヒロイン。そして二人は結ばれ。みたいな展開だったけれど。

 まず、その側室となるはずの女はこの世に居ない。

 学園在学中に迫ってこようとして、それが視察中の外のことで、あまりの勢いの良さに護衛騎士がうっかり斬り殺したのだ。だがまあ、あれは刺客だと思われても仕方なかった。

 妃とラブラブだったので怖すぎたし。

 なのでドラマは生まれないのだ。すまぬ。

 ちなみに、王妃から生まれた子供は一歳下で、ヒロインに惚れて無理やり手に入れようとして、とかそんな展開だったけど。

 すまぬ、息子、今、九歳。

 現在十六歳のヒロインを見ても惚れることはないだろう、宰相の孫娘が初恋で可愛らしいピュアピュアな恋愛しているしなぁ。


 なので、ヒロインよ。君は王家とは無縁に生きてくれ。

 多分転生者だろうなぁとは思うけど。唯一の王子である息子を見て目をガン開きにしてたから。それに王妃と仲良くて側室いないのにも驚いてたみたいだけど。

 漫画のヒロイン、覚えてる限りだと、わりと花畑脳だったんだよなぁ。愛があればなんとでもなる、みたいな。国王がそうだからだよなぁ。

 でも、俺は妃至上主義なものでな。それに、王女ともう一人王子もいてだな。平和なんで。


 三十五歳で王妃に愛されるために若さを保ちながら体型にも気をつけている俺はイケメン枠だろうけどな? 俺をターゲットにしても無駄だ。

 俺は妃オンリーなので、こちらに来たら人知れず処分するから、まあ、命は大事にしろよ。

今回は異世界転生に限定しました。

割と現実的にこうなるんじゃないかなーと。

⑤はこれだけで多分物語が作れるやつ。

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1.よく転生令嬢が、追放後とかに平民になろうとするけど ・現代と違って家事は重労働 ・昔はだいたい男尊女卑 ・女の一人歩きは危険。超危険 ・なので平民女性は大体が近距離移動しかしない。集団行動。井戸端…
⑤の場合、貴族は王族の妊娠に合わせて子作りする(側近や学友にする為)事が多いから、もしかしたら王子以外の攻略対象達も王子と同年齢で産まれてる可能性が激高w そして多分王子のようにピュアピュアな恋愛して…
⑤は、王子以外の攻略対象がいる場合、そっちに流れて王室以外の貴族関係が荒れる可能性があるのかな? まあ、何にせよ⑤の続きちょっと希望!
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