猫
視線を感じる。
そんな事を感じる時はあるだろうか?
その正体が何なのか。
考えてみて欲しい。
人でも動物でもいい。
だけど、本当にそれは人か動物か、もう一度考えてみて欲しい。
『僕だったら、それが自分の知ってるものの方が良いから初めはこう考えるだろうね』
『猫』
僕が小学生の頃、必ず一人になる道があった。
それまでは、友達と楽しく話して帰っているが、あるT字路からはその友達とは帰る家が違うから一人だった。
そして、一人になると毎回思うんだ。
何かに見られてるんじゃないかって。
後ろを見ても右・左って見ても
歩く道の右手には家が並んでて、左手には大きな畑があって、後ろにはさっき見た風景だけだった。
普通の帰り道だ。
ある冬の日のことだ。
その当時、仲の良かった岡村という気が良くて、元気なやつがいた。
岡村がどうしても僕の家に遊びに来たいなんて言うものだから、その日は岡村を連れていつもの帰り道を一緒に帰ったんだ。
だけど、T字路に入った辺りから、岡村が辺なことを言うんだ。
「なんか、緊張する」
僕の家に来るのは初めてだからか、岡村は緊張してるんだろう。
その当時は、そう思ってた。
「大丈夫だって、家にはお母さんしかいないし、優しいよ?」
「違うんだよ!」
今度は強気に言ってくるものだから、気分でも悪いのかと心配していると、右手に田んぼが見えた辺りからだろうか。
岡村がぴたりと足を止めた。
「あれ、なんだ」
よく見えないが、20mほど先に何かうずくまっているものがはっきり見えた。
こちらを見ている。
馴染みのないものなのか、それが何かはわからなかった。
「なんだろーね、よくわかんない。」
すると岡村、確かめてくると言わんばかりに、畑の中へと入っていった。
人の敷地だし、よくないと思ったが岡村は早足で行ってしまったので止めることも出来なかった。
遠目から見える岡村と何かの大きさは然程違いはなかった。
途中で足を止めて岡村は帰ってきた。
早足で帰ってきた岡村に僕は尋ねた。
「何だった?」
だけど、岡村は答えなかった。
僕を無視して、家へ行こうとする岡村に食い気味に聞くと岡村は間を置いて答えた。
「わかんない」
「どうゆうこと?」
また、間を置いて、自分を納得させたようにして、一言答えた。
「猫」
僕は、もう一度何かを見た。
「...猫?」
その日以来僕は、その猫?を見ていない。
以降、岡村はよくその猫の話をするようになった。
だけど、猫の話をしているのに、猫の話をしているようには感じなかった。




