37話 オススメの相手
「はあ……」
自室でマッチング魔道具『デスティニー』を起動してなんとなくフリックを続ける。
最近はカーミラやラァ子とメッセージのやり取りをするくらいで、自分から新しい人にアタックしていくことはあまりしていない。
なんかもう、今絡んでる人たちでお腹一杯って感じなんだよな……始めた頃の溢れ出んばかりのモチベーションは色々ありすぎたせいで停滞気味だ。
ピロン♪
「ん? なんだ……?」
『☆高確率でマッチング成功☆オススメのご相手を紹介します☆』
「オススメの相手……?」
どうやら今までのデスティニーの使用履歴やマッチング傾向から分析して、オレの好みかつマッチング出来る確率の高い人をピックアップしてくれる機能らしい。
「利用期間によって新しく解放される機能とか出てくんのな」
とはいえ、今までにマッチングに成功したのカーミラとラァ子だけなんだけどな。
分析の母数2人じゃマッチング傾向もなにもなさそうだが。
「メリーちゃんか。本名か仮名かは分からんな。職業はアイドル……」
…………。
「は? アイドル!? えっ現役の!?」
まさかの職業に思わず二度見してしまう。
アイドルプロデューサーとかじゃなくて、ガチのアイドル……え、なんでマッチング魔道具なんてやってんの?
「こんなのマッチング難易度SSSだろ……なんでオススメしてくるんだよ」
しかもまた住んでる所がエビルムーン帝国だし……いやまあこれは仕方ないのか。
オレがエビルムーン帝国の人としかマッチングしてないのが原因だな。
「でも正直ちょっと興味あるな……まあ職業欄をオレみたいに偽装してる確率の方が高いと思うけど」
正体バレ防止の為か、プロフィール写真は前髪と目元のアップ。種族も不明だ。
わざわざエビルムーン帝国出身にしてるってことは人間族ではないのだろう。
アイドルをやりそうな亜人族か魔人族っていうと、ハーピィ族とかマーメイド族、後は妖精族あたりか……?
「なんか面白そうだし、ちょっとマッチング希望出してみるか」
アイドルを自称してるくらいだから、偽装プロフィールだとしてもさすがに帝国軍所属とかではないだろう。
とりあえずダメで元々、なんでもチャレンジだ。
「これで良しっと……」
コンコン!
「お兄様~! ごはん一緒に食べましょ~!」
「はいよー」
そういえば今日はフランキスカと夕食の予定だったな。
屋敷の離れで一人暮らしをしているとはいえ、こうやってよく一緒に食事をしてたらあまり自立してる感が無いんだが……まあ良いか。
「ごはんを食べたら一緒にお風呂も入りますの!」
「入らねえよ」
―― ――
「ふぃ~さっぱりした」
フランキスカと飯を食って、風呂……は1人で入って部屋に戻ってきた。
いやまあ、たしかにフランキスカが5才とか6才の頃は一緒に入ったりもしてたけどな、アイツもう15才だぞ。
ちなみに今でも大雨落雷の日なんかは屋敷の離れにあるオレの部屋まできて布団をかぶっている。
オレの匂いを嗅ぐと落ち着くらしい。代わりにデカい犬でも飼ったらどうですかね。
「ん……返事が来てるな」
デスティニーの画面が点滅して通知をお知らせするメッセージが。
さっきマッチング希望を出したメリーからだろうか。
「えーと、なになに……マッチング希望、承諾……」
…………。
「えっ承諾!? マジで!?」
なんとダメ元で申請した結果、マッチングに成功。
メリーから承諾のメッセージが来ていた。
『マッチング希望ありがとうございます! 現役アイドルのメリーです☆ 交通費と食事代別で、お食事のみで5000エル、半日デートで2万エル、1日デートで5万エルになりま~す☆』
「…………」
とりあえず援助交際目的の使用ってことで通報しとくか。
ピロロン♪
「ん? またなんかメッセージが……」
『更に更に~? 1日デートをしてくれた方限定で、お好きな帝国軍十三邪将とのサイン入りツーショットチェキをプレゼント☆』
「なんでだよ」
このメリーっていう自称アイドルのパパ活いただき女、十三邪将と繋がりがあるってことか?
さすがに怪しすぎるだろコイツ。
「少し、探ってみるか」
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