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28話 カーミラの厄介事



「す、すまないなルイ……こんな話を君にするべきじゃないのだが、他に相談できる相手がいなくてな……」



「いや、頼ってくれて嬉しいぜ」



 カーミラと会い、お互いの素を晒して朝まで飲んだあの日からしばらく経ったある日。

彼女から相談したい事があるというので久しぶりに会うことに。

ちなみに連絡は未だにマッチング魔道具のデスティニーを通してやり取りしている。

普段使ってる通信魔道具の連絡先を交換しちゃうと色々バレちまうからな……オレの本当の職場とか。



「それで、メッセージで言ってた例のヴァンパイア族の男のことだが……」



「ああ、最近はこんな感じでな……」



 カーミラがデスティニーのメッセージ画面を見せてくる。

最近彼女と会ってなかったのは、オレの方でもラァ子と会ったりフランキスカと遊んだりと色々予定があって疎遠になってたってのもあるんだが、カーミラが新しくマッチング魔道具で知り合ったヴァンパイア族の男と遊びに行くという話を聞いていたので、そこがどうなるか分からないのでこちらからは連絡しないようにしていたのだ。



「うわ、これはちょっときついな……」



「実際に会うまではそれなりに優しそうな男っぽい感じでやり取りしてくれてたんだが、いざ会ってみて、あーこれは我的にはちょっとミスマッチだなってことでそれ以降のやり取りは断ってたんだ。そしたら本性を出してきたというか、しつこいマッチング魔道具ストーカーみたいになってしまってな……」



 カーミラからの相談は、マッチング魔道具で知り合ったヴァンパイア族の男がストーカーのようになってしまっているのでどうしたら良いか、という内容だった。

ヴァンパイア族の中ではそれなりの由緒あるお家のお坊ちゃんということで、ワンチャン玉の輿も狙っていざ会ってみた結果、マッチング魔道具に載っているプロフィール写真とは全然別物の男がやってきたという。



「このプロフィール写真を見ると中々に顔の整った好青年って感じだが」



「これがめちゃめちゃ加工でなあ。実際に会ったら体積が3倍くらい大きかった。まるで血を吸う前のヒルと血を吸ってパンパンになったヒルくらい違っていたぞ」



「いやなにその例え」



 まあとにかく、想像してたよりもだいぶお太りになった男性がやってきて、しかも会話もあまり弾まずで、その日はそんな雰囲気のままお開きに。

カーミラとしてはこれきりで関わるのはやめようと思っていたところ、どうやら向こうからは好印象で『また会いたい』と連絡が。



「実際に会ったら好みじゃなかったってバッサリ断るのはさすがに……と思ってやんわり断ってたんだが、まったく察してもらえなくてな。最終的にブロックしたのだが……」



「でもこれ、最近もメッセージ送られてきてるよな」



「どうやらこの魔道具を開発、販売している店とこやつの親が知り合いらしくてな。我のブロックを貫通してメッセージを送れるようにされているみたいなのだ」



「マジかよ、やることキショすぎるだろ……」



 こうなったらもうマッチング魔道具を他社製品に買い替えるか、キッショいメッセージが送られてくるのを無視して使い続けるしかないだろう。



「その、それでな? 我も正直あまりのしつこさにブチ切れてついこう返してしまったのだ」



「ん、なになに……?」



 『すまんが我は最近意中の相手が出来たのでな。あ、もちろん貴様じゃないぞ。貴様がいくら連絡してこようと我にはもう心に決めた素敵な殿方がいるのだ』



「で、これに怒ったのか『それなら証拠写真を見せてみろ!』って返信が来たんで、前にルイと飲んだときに撮ったツーショット写真を送りつけてやったのだ」



「おい」



「そしたら発狂して『し、し、し、信じないぞおおおおお!! こ、こ、こ、こいつをぶち殺してミラちゃんをぼくのものにしてやるううううう!!』って返信が来たのだ」



「おい!」



「というわけで、今度我と一緒にこのキショスト吸血豚と戦ってくれないか?」



「なんでだよ!!」



 さすがにこれは巻き込まれ事故すぎるだろ……!!




————  ――――


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