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25話 義妹のお迎えに行こう!


「ふわあ……ねっみ」



「あっルイソンお兄様! ごきげんようですわ!」



「ん? おおフランキスカ、おはよう」



「これからお休みですの?」



「ああ。そっちは学校か」



 軍の夜間業務を終えて帰宅したとある日。

シャワーを浴びて寝ようとしていたところで登校前のフランキスカと鉢合わせする。

オブシディアン家の息女であるフランキスカは、今年の春から『フレア女学院』という貴族のお嬢様方が多く在籍する名門の女子校に通っている。

黒を基調としたフリルワンピースに赤いリボンが付いた制服は、もう一つの名門女子校『プロミネンス女学園』と並んでサンブレイヴ聖国の全女子が憧れているとかいないとか。



「お兄様、今日はお休みの日ですの?」



「ん? まあそうだな……次の哨戒担当は明日の夜だから今日はもう寝るだけだ」



「そ、それじゃあその……夕方になったら起きますか?」



「なんだ、どこか遊びに行きたいのか?」



 そういえば最近は夜間警備のシフトが続いたり、休日はミラさんやラァ子に会いに行ってたりでフランキスカとあまり遊べていなかったかもしれない。

養子で人狼族という、オブシディアン家の中でも少し異物感のあるオレだが、ありがたいことに家のみんなは本当に血のつながった家族のように接してくれており、特にフランキスカは物心ついたときから一緒にいるからか、彼女が15才になった今でも懐いてくれている。



「その、学校が終わったら少しで良いので一緒に遊びたくて……」



「ああ、良いぞ。それじゃあ学院が終わる頃に迎え……はよくないか。近くの喫茶店とかで待ってるよ」



 フレア女学院の中には下校時の送り迎えをする家族や執事、メイドなどが待機する待合室が完備されている。

毎日馬車で登院する生徒もいて、それ用の馬車小屋まであるのだからすごいというか、さすが貴族様の学校というか。

とはいえ獣人系の生徒が通っているという話は聞いたことが無いし、オレが迎えに行くとフランキスカに変な噂が経ってしまうかもしれない。



「……!! む、迎え! 迎えに来て欲しいですわ!!」



「でもお前、人狼族のオレが女学院に迎えはさすがにイメージが……」



「そんなことありませんわ! 絶対迎えに来てくださいまし!!」



「そ、そうか……?」



 まあ、本人が良いなら別に問題はないか……



「クラブ活動が18時に終わりますので、その辺りを目安にお迎えに来ていただけると嬉しいですの」



「わかった。寝過ごさないように気を付けるよ」



「お待ちしておりますわ!」



 ―― ――



「ここがフランキスカの学校か……」



 夜勤からの爆睡をかましていたオレは日暮れ前、なんとか寝過ごさずに起床……はちょっと出来なかったので、フランキスカ付きのメイドさんにたたき起こされてフレア女学院にやってきた。

入り口の警備に怪訝な顔をされたが、オブシディアン家の紋章が入った身分証を見せたらめちゃめちゃ丁寧な対応で待合室まで通された。

待合室でオレと同じように学校が終わったお嬢様を迎えに来ていたメイドさんたちから興味津々な視線を向けられつつしばらく待機していると、学院側の人から声をかけられる。



「オブシディアン家の方ですね。フランキスカさんがもうすぐクラブ活動を終えるようですので、こちらへどうぞ」



「あ、はい」



 案内されて向かった先は学院内にある牧場のような施設で、生徒たちが乗馬の練習をしているのが確認できた。



「そういえばあいつ、乗馬クラブに入ったって言ってたな」



 『将軍家の娘たるもの、騎馬戦くらい出来ないといけませんわ!』とか言ってたけど、聖国軍の騎馬隊って男しかいないんだよな……なんならリーダーはケンタウロス族だし。



「あっ! ルイソンお兄様~!!」



「……ん? おお、フランキスカじゃないか」



 パカラッパカラッとこちらに近づいてくる馬がいると思ったら、乗っていたのはフランキスカだった。

家だとふんわりした服装と雰囲気のフランキスカだが、今はピシッとした乗馬服を着こなして、なんとなく家で会うときよりも大人っぽくみえる。



「お兄様! わたくしと競争して勝ったらホテル・ドルチェスタの『恋人限定トリプルハートワッフルパフェ』をご馳走してくださいですの!」



「馬と走って勝てるわけねえだろ」





————  ――――


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