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22話 素の二人



「いや~我な? 幼いころから戦闘訓練の日々でな? 帝国軍に入ってからも戦い続きで気が付いたら200才超えててな? 恋愛経験どころか異性と遊んだこともあんまりなかったからな? 最近になってようやくマッチング魔道具使い始めてな?」



「あ~オレもそんな感じだよ。ずっと聖国……じゃねえや、警備兵とかやって男ばっかしの職場だから出会いもねえし」



「ルイ~我とマッチングしてくれて感謝いたす~!」



「がっはっは! 武士じゃねえか武士!」



「これが200年前の訛りじゃあ~!」



 まずい、ちょっと飲みすぎたな……二人とも。

カーミラとお互いに謝罪したりカミングアウトしたりした結果、お互いの間にあった壁がひとつ壊れたような感じで打ち解けることができ、そのままのテンションで飲みまくってたらすっかり出来上がってしまった。

なんだろう、この小柄なヴァンパイアに少しハチェットみを感じてだいぶ気軽に接してしまっていたのかもしれない。



「あ、そういえば我な、今度ルイとは別の男と会うんだけどな」



「なんだよカーミラ、男と会うのかよ。オレというものがありながら~」



「それを言ったらルイだってラージャと遊んでいるではないか~」



「それもそうだな! で、どんなヤツ? ミノタウロスか?」



「なんでミノタウロスが出てきたんだ」



 なんとなく最近話したミノタウロス族を思い出してしまってな。

カッシート、どうせまた懲りずに奥さんに黙ってキャバクラ行ってんだろうなあ……



「正解は~?」



「ジャカジャカジャカジャカ……ジャン!」



「あ、お姉さ~ん! レッドアイのおかわりく~ださい!」



「CM入っちゃったよ!」



「かっかっか! 後半へ続く!」



 さっきからずっとこのノリとテンションで二人ともだいぶ話す内容が適当になってきている。

オレもポロっと本当の職業を話さないように気を付けねえとな……まあ今言っても『冗談で~す!』で誤魔化せそうな気もするが。



「お待たせいたしました~レッドアイです~」



「は~い! お姉さん感謝いたす!」



「ごゆっくりどうぞ~」



 店員のお姉さんは手馴れた様子で空いたグラスを下げていった。

ちなみに店員のお姉さんは『モノアイ族』という大きな一つ目を持つ亜人族だった。



「はいCM明けました! それでは鮮血のカーミラさん、正解をどうぞ!」



「我が今度デートする男は~?」



「ジャカジャカジャカジャカ……ジャン!」



「ヴァンパイア族でした~!」



「なんだよ同族かよ~! 普通!」



 まあでも、同じ種族同士でマッチングするってのが普通なのか。

人狼族のオレがヴァンパイア族だったりナーガ族だったりと会ったりしてる方が珍しいのかもしれない。



「なんか~エビルムーン帝国の良いとこのお坊ちゃんらしくてな~?」



「おお、玉の輿ってやつだな!」



「でも我の方が多分稼いでるぞ! なんといっても帝国軍十三邪将だからな!」



「よっ! 鮮血のカーミラちゃん!」



 なんでオレは敵軍の幹部をヨイショしてるんだろう。

まあいいか、今はプライベートだし。



「カーミラ、もしかしてそのままヴァンパイア同士で結婚してオレの事は忘れてしまうんじゃあ……」



「何を言うかルイよ、我と貴様の仲じゃないか! もしお互いに別々の恋人が出来ようとも、飲み友達として付き合ってくれたまえよ!」



「カーミラ……お前良いやつだな~!」



 そんな感じで、オレはカーミラが敵だということも忘れて日が昇るまで二人で飲み明かした。



 ……。



 …………。



「うう、気持ち悪い……朝日キツい……」



「大丈夫か、今シャドウタクシー呼んでやるから……」



「あっダメ。我吐きそう」



「おいちょっと待てまず背中から降ろすから吐くならそっちの側溝に行って」



「オ〝ゥ〝ウ〝エ〝エエエエエエエエエエ」



「うわあああああああああああ!?」



 カーミラがリバースしたレッドアイがオレの全身に降りかかり、オレの毛は真っ赤に染まった。



「……めちゃめちゃトマト臭え」



「かっかっか、これがエビルムーン帝国軍十三邪将、鮮血のカーミラ様の秘奥義なり!」



「鮮血じゃなくておまえのゲロだよ」




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