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20話 誠意のデート



 というわけで、カッシートのアドバイスを受けたオレはさっそく次の休日にミラさんを誘って誠意のデートを決行することにした。



 現在の日時は金曜の午後21時。

昔のおとぎ話では『ヴァンパイア族は日光に当たったら身体が灰になって消滅する』みたいなことを言われているが、実際は別にそんなことはなく、それなりに日差し対策をすれば日中でも活動は可能らしい。



 ただやはり日中に活動する方が疲れが出やすいのと、日の光をかなり眩しく感じてしまうということで、どうしても昼に活動しないといけない用事でもない限りは日暮れから活動するのだとか。



「まあ、今週は夜間警備続きだったからこの時間の方が助かる……いや謝罪するんだから助かるとかそう言うんじゃないけどな、うん」



 今回の待ち合わせ場所はアニスター共和国にある『ミッドストロール』という繁華街。

この辺りは夜型の亜人や魔人が多く住むエリアで、営業している店も深夜の方が多いという珍しいシティスタイルをしている。

オレのような人狼族やミラさんのようなヴァンパイア族もちらほらと見かけるような、精神的にかなり落ち着く街だ。



「わっ」



「うわっ! って、ミラさん……!?」



「うふふ、こんばんは」



「こ、こんばんは」



 背後から子供みたいな驚かせられ方をされて大きい声を出してしまった……は、恥ずかしい。

いや、普段なら背後から誰か近づいてきたら分かるんだけどな。

少し考えに耽っていたのと、ミラさんの気配の消し方が上手すぎて気付けなかったんだよ。



「今日は誘っていただきありがとうございます。それで、あのですね……」



「いえ、こちらこそ来ていただいて感謝というか、その……」



「ごめんなさい!!」

「すいませんでした!!」



 …………。



「「えっ?」」



 会って早々に謝罪をするオレとミラさん。

オレは元々最初に会ったらまず謝ろうと思っていたんだが、ミラさんはどうして……?



「「あのっ!」」



 …………。



「あははは! はあ……なんだか気が抜けちゃった。あ、ルイさんからどうぞ」



「あっどうも」



 もっとギスギス感満載になるかと思ったけど、ミラさんは意外と自然体だったので、こちらを少し落ち着いて話が出来る。



「この間の写真の件、あれを送ってしまった理由はメッセージでやり取りした通りなんですが、やはり言い訳みたいな説明になってしまったなと思って。それで今日、直接会ってミラさんに謝罪をしたかったんです」



「そうでしたか……私も、ルイさんの交友関係にまで口出しと言うか、少し問い詰めるような感じで写真の事を聞いてしまったので、あとで考えて直して、あの対応は良くなかったなあと思ってまして」



 どうやらミラさんもミラさんで少し言い過ぎたなってことで悩んでいたらしい。

やっぱり文字だけだと伝わらないこともあるってことだな、いやあ良かった良かった。



「オレなんて仕事中もうじうじ悩んじゃって、同僚に誠意を持った謝罪の方法とか相談しちゃいましたよ」



「私もです。サンドバッグ……じゃなかった、取引先の相手に少し当たってしまいまして。まあおかげでクールダウン出来て結果オーライだったんですけど」



 …………。



「そ、そうなんですね」



「あはは、まあ付き合いの長い取引先の方で、向こうからもちょっと冗談交じりに煽られたりしつつ、事情を軽く話したら笑って許してくれたんですけど」



 いやその取引先って多分オレじゃん。

あと八つ当たりのレベルが全然少しじゃなかったし。

煽ったりは……まあしたけど。



「そ、それじゃあお互い憂いも無くなったということで、今日はパーッと遊びましょうか!」



「そうですね……あ、ルイさん。その前にひとつ良いですか?」



「はい、なんでしょう」



 ミラさんはどこか意を決したような表情でこちらを見上げ、衝撃の事実を打ち明けた。



「私の仕事、公務員ってプロフィールに載せてましたけど、実は違くて。いや、違くは無いんですけど厳密にはですね……」



「ミ、ミラさん?」



「……私、実はエビルムーン帝国軍に所属してるんですよ」



————  ――――


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