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14話 初デート反省会②



「……というわけで、ラァ子さんはエビルムーン帝国十三邪将の『時止めのラージャ』でした」



「だからよしときなって言ったのに~」



 ラァ子との初デートを終えた翌日。

オレは仕事終わりに『喫茶ハロゥ』を訪れていた。

まあ、ミラさんのときと同じでハチェットに報告をしようと思ってだな。



「いやほら、ぱっと見地雷そうで地雷じゃない、少し地雷な女の子かと」



「それは『時止めのラージャ』じゃなくて『ちょい辛めなラー油』でしょ~?」



 …………。



「くっ……くくく」



「じ、自分で言って笑うなよっ……」



「ル、ルイソンくんが振ったんじゃんっ……」



 くだらない事で笑える友人って良いよな(良くない)。



「……カルーアブラック、お待ち」



「ありがとうマスター」



「ルイソンくん、なにそのお酒」



「なにって、カルーアブラックだが……」



「カルーアミルクじゃなくて?」



「ミルクは甘えだろ」



 グラスになみなみと注がれた黒い液体をゴクリと一口。

うん、強い甘味と苦みが混ざり合って素晴らしいハーモニーを……



「パパ、ルイソンくんに出したのなに? カルーアブラックなんてうちのカクテルメニューにあったっけ?」



「……常連さんへの、特別メニューだ」



「ルイソンくん、それ一口ちょうだい」



「あっおい」



 ハチェットにグラスを持っていかれて勝手に飲まれる。



「ったく、勝手に人のを飲むなって……」



「コク、コク……なにこれ。カルーアと……ブラックコーヒー?」



「そうだ」



「こんなのただのカルーア・アイスコーヒーじゃ~ん」



「ミルクもシロップも入れてないから。ブラックだから」



「カッコつけちゃってさ~」



 これを飲みながらツマミにミルクレープを食べるのが最高なんだよ。

まあ、素人にはオススメできないがな。



「それで? そのラァ子ちゃんのことは今後どうするの~?」



「いやまあ、実際会ったら良い子ではあったんだがな……」



「ルイソンくんの話聞いてる感じだと、関係深めてくとその内食べられちゃうよ? あ、えっちな意味でなく」



「むしろえっちな意味での方がマシなんだが」



 丸呑みプレイで人生終了とか嫌すぎる。



「でも良いじゃん。ルイソンくん時間停止モノ好きでしょ~? 石化プレイ石化プレイ」



「そんな事実は全くもって無いんだよ」



 あとオレ石化効かねえから。犬枠だから。



「え~? でも今ここで私が石化されて時止め状態になったら、い・た・ず・ら、するんでしょ~?」



「……そうだな、太ももに『短足』って落書きするかもな」



「リトルフット族は短足って意味じゃありませ~ん! ほら長い! 足長い!」



「おいこら、ちょっと……スカートめくんなって!」



 こいつ、今日は随分と酔ってやがるな……



「……すまんなルイソン。お前が来る前から結構飲んでるんだ」



「だからこんな出来上がってんのか……何かあったんすか?」



「……喫茶店の営業時間中に人狼族の悪口を言う客が来たらしくてな、少し揉めたんだと」



「あー、なるほど」



「おいこらパパ~! ルイソンくんには内緒って言ったじゃ~ん!」



 こいつ、昔から人狼族とかオレを見てバカにしてくる奴がいると突っかかっていっちまうんだよな。

オレはもう慣れたっていうか、この国で暮らしてくならある程度は仕方ねえって思ってんだが……



「ったく、そんなヤツほっときゃいいのに……」



「ふふ~ん! 私の目の届く所では人狼族差別は許さないんだからね~!」



「マスター、コイツに水を」



「……はいよ」



 まあ、オレもリトルフット族を悪く言うヤツがいたら高確率でぶっ飛ばしちまうからあまりハチェットのことは言えないんだけどな……



 ピピロン♪



「ん、こんな時間にメッセージか……?」



 ポケットに入れていたマッチング魔道具『デスティニー』からメッセージの通知音が鳴る。

自室に置いてきても良かったんだが、万が一フランキスカにでもバレたらうるさいからな……



「えーと……ああ、ミラさんからか。さすがヴァンパイア族、むしろこれからが活動時間か……」



 『ルイさん、昨日ラージャっていうナーガ族の女の子と会いましたね?』



「…………」



「んん~……ルイソンくん~? どうした~?」



「いや、そのお……」



 ちょっと、やっちまったかもしれん。




————  ――――


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