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第66話 誓いの光

夜の(とばり)が下り、砦の広間は緊張に包まれていた。帝国からの強硬な要求と侵攻の兆しに備え、柚希たちは最後の作戦会議を行っていた。


「帝国は“聖女”を手に入れるためなら、どんな手段でも使うつもりだ」

リディア宰相の言葉は冷徹で、けれどその瞳には強い決意が宿っていた。


ルカが柚希を庇うように立ち、低い声で告げる。

「ユズキを渡すくらいなら、俺が命を懸ける。聖女の力は、この国の希望なんだ」


柚希は二人の視線を受け止め、静かに首を振った。

「私のせいで戦いになるのは嫌。でも、逃げるだけじゃ…何も守れない」


そのとき、扉が開き、レオンが姿を現した。月明かりを背にしたその姿は、王としての威厳に満ちていた。

「ユズキ…君が抱える痛みも恐れもわかる。それでも、俺は君を一人にはしない」


柚希の胸が熱くなる。

彼の言葉はただの約束ではない──命を懸けて寄り添う誓いだった。


「レオン…」


気づけば、柚希の手は震えていた。けれど、レオンがその手を包み込むと、不思議と力が湧いてくる。


「帝国が奪おうとするなら、俺たちは共に抗おう。君の光と、俺の剣で」


その瞬間、柚希の胸の奥で光が弾けた。眩い輝きが広間を満たし、皆の心をひとつに繋ぐ。


リディアは小さく笑みを浮かべ、ルカは剣を強く握り直した。

そして柚希もまた、はっきりと頷いた。


「はい…私、逃げません。あなたと一緒に戦います」


──“聖女”としてではなく、ただひとりの女性として。

柚希の言葉は、夜を照らす光となって仲間たちの胸に刻まれた。


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