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第48話 光の覚醒

黒霧の王の巨腕が振り下ろされる。大地が裂け、岩が砕け散った。直撃を受ければ、柚希の身は跡形もなく消えていただろう。


 しかしその瞬間、柚希の身体からあふれ出た光が防壁となり、黒い爪を弾き返した。

 轟音と共に衝撃波が走るが、彼女の足は一歩も退いていない。


「……守るだけじゃない。私は──みんなと共に戦う!」


 胸の奥で、確かな決意が芽生える。これまで“癒しの力”として現れていた光は、今や鋭い剣のように形を変え、柚希の両手に宿った。

 淡い光の刃が交差し、夜空の星のように煌めく。


「ユズキ……それは……!」

 レオンが驚きの声を上げる。


「わたし自身の意思で、この力を使う!」

 柚希は強く叫び、光の刃を振るった。


 刃は黒霧の王の巨腕を裂き、闇を浄化するように霧散させた。

 獣が苦悶の咆哮を上げ、背をのけぞらせる。その隙を逃さず、仲間たちも一斉に攻撃を仕掛けた。


「今だ! 総攻撃だ!」

 レオンが大剣を叩きつける。

 ルカが素早く駆け、短剣で巨獣の脚を斬り裂いた。

 リディアが魔法陣を描き、炎の槍を放つ。


 仲間の攻撃と柚希の光が重なり、黒霧の王の巨体を包み込む。

 だが、巨獣はまだ倒れない。深い咆哮と共に霧を濃くし、さらに凶暴さを増していった。


「しぶとい……! でも、ここで決めなきゃ……!」

 柚希は全身に光を集める。彼女の周囲に舞う粒子は、まるで星座のように形を描いていた。


──胸の奥に響く声。

《進め、柚希。お前の光は闇を超える》


 それは幻聴か、あるいは彼女自身の心の声か。

 柚希は迷わず叫んだ。

「みんなの未来を──闇に奪わせはしない!」


 光が(ほとばし)り、平原全体を照らし出した。



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