表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/73

第40話 闇の囁き

王都の片隅、灯りの届かぬ地下室。

湿った空気の中で、ひとつの影がゆっくりと揺れていた。


「……やはり、あの娘は《鍵》だ」

ガルシアンの低い声が響く。


粗末な木の机の上には、古びた魔導書と血のように赤い宝玉。

彼の眼差しは獲物を狙う蛇のように鋭く、薄笑いが浮かんでいた。


「災厄を呼ぶか、希望となるか……それはどちらでも構わぬ。

 ただ、この国を覆す火種になってくれればいい」


暗がりから現れたのは、黒いフードをかぶった男たち。

彼らは〈影の教団〉と呼ばれる秘密結社の信徒。

ガルシアンに忠誠を誓い、闇の神を信奉する者たちだった。


「閣下、王と宰相の監視は続けております。リディア様は依然として中立を保っているようですが……」

「ふん、中立など長くは続かぬ。ユズキという異物の存在が、必ず奴を揺さぶる」


彼は手にした宝玉を握りしめた。

まるでそれが、柚希の運命そのものを象徴しているかのように。


「時は満ちつつある。

 ──近いうちに、王都に“試練”を与えてやろう」


冷たい笑みが闇に溶ける。

それは、静かに迫り来る嵐の前触れだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ