どうして君は。
ネオside
「俺の名前はアルド=ナーヴァス!よろしくな!」
「よ、よろしく、、、?」
勇者が魔王によろしくなんて言っていいのか、と思うが
まあこいつはそういうやつかと思い考えを振り切る。
そして、彼、、、いや、彼女は
「じゃ、やりたいこと終わったから帰るな!」
と言って扉から出ていこうとした。
普通ならそのまま見送るが、勇者に対して興味があった俺は、つい勇者を呼び止めてしまった。
「おい、まて勇者。」
「なぁに?」
俺の言葉に立ち止まる勇者。
「ぁ、えと、、と、泊まっていかないか?
客室がひとつあるから遠慮しなくていい。」
勇者は少し考えたあと、
「いや、いいよ」と、答えた。
この後も魔物の討伐の依頼があるしね、と付け加える。
「だけど、、ここに来るまでに疲れてないのか?」
そう、ここは辺境の地であり、天候も変わりやすく
普通の人間ならここに辿り着くのは至難の業だろう。
勇者であれど少なからずは体力を削られているはず。
「ま、今休んで疲れが取れたから大丈夫だよ」
「だが、、、!」
「、俺より今外にいる人を中に入れてあげなよ。」
「え、?」
そう言って勇者は玄関のドアを開ける。
そこにはずぶ濡れになった女性がいた。
「ぁ、、すみません、雨宿りさせてもらえませんか?」
、魔王たる俺が気配に気づかないことなどあるのか、?
もしかして、勇者や俺の命を狙いに来たやつか?
そんな俺の考えをことごとく
無視するように勇者は女性に声をかける。
「多分泊まらせてくれると思いますよ。」
「本当ですか、!助かりました!」
「お、おい勇者、、!」
「、?俺を泊める前に女性の方が優先だろ。」
お前も女だろ←←←
と心の中でツッコミをいれながら引き止める言葉を探す。
「とりあえず二人とも泊まったらどうですか?」
ナイスだリア!
リアは俺の一番弟子である。ナイスずきる。
「そうですよ!外は寒いですし、
ネオ様はソファーで寝てもらえばいいです!」
マリアそれは酷くないか???
リアと姉妹なのに性格は真反対だ。
その言葉を聞いてまた勇者は考え込む。
「うーん、、なら、お言葉に甘えて泊まろうかな。」
あ、でも俺がソファーで寝るよ、と付け加えた。
その後は普通に食事をとり、全員が眠りについた。
深夜に俺は目が覚めた。
喉が乾いていたので起こさないように
階段で音を立てないように静かに1階に降りる。
そして水を飲んだあと、ソファーに寝ていたはずの
勇者がいないことに気づいた。
辺りを見回すと、玄関の鍵が開いていた。
何をしているかは知らないが、バレないように覗き込む。
そこには、
「1256、1257、1258、1259...」
聖剣を持ち、素振りをしている勇者がいた。
ただ、外は大雨だ。現に勇者はずぶ濡れになっている。
「おい、風邪ひくぞ?」
そう声をかけるも、勇者からの反応はない。
「おい、聞こえてるのか?早く中に___」
俺がそこまで言った時。
「、?」
アルドがこちらを向いたあと。
青い”両目”が俺を捉え、そのまま倒れた。
「は、おい!勇者!!しっかりしろ!」
俺は駆け寄り、勇者を中に運ぼうと抱える。
勇者の体は生きているとは思えないくらい冷たかった。
勇者を中に運び込み、申し訳ないが
リアを起こして、服を着替えさせてもらった。
そして、仕方ないが俺のベッドに寝かせた。
「だいぶ体が冷たかった、
もし、、、あのまま続けてたら死んでたよ」
「あぁ、、そうだな、気づけてよかった」
そういえば、なんで勇者は十分すぎる強さを持つのに
それでもまだ強くなろうとしているのだろうか。
死んでしまう1歩手前まで何回も、何十回も
素振りを続けた先に何があるのだろう。
、、どうして、あの時両目とも青色だったのだろうか。
謎は尽きないが、勇者が起きた時に聞いてみよう。