キャラクターに大きな決断をさせる
私の中で、作中で最も大きな決断をくだすキャラクターといえば「二都物語」に出てくる、シドニー・カートンです。
二都物語は、チャールズ・ディケンズの小説で、オリバー・ツイストや、クリスマス・キャロルの方が有名かもしれませんね。
このシドニーというキャラクター、飲んだくれの弁護士なのですが、ルーシー・マネットという心優しい女性と出会って、愛を知り、世界の見え方が変わるのです。そして、ルーシーたち家族を守るために最後に大きな決断をします。
ネタバレになるので決断の内容は、ここには書きませんが、どんな決断をしたのか気になる方は、あらすじを検索してみてください。
小説も良いのですが、個人的にはミュージカル版がすごく好きで。演じていた井上芳雄さんが本当に素晴らしく。
シドニーから見えている世界が、ルーシーの愛を受けて、段階的に、確実に変わっていくのが目に見えて分かるんですよね。最後の決断に至るまでの過程が違和感なく、演出されていて、とても感銘を受けました。ソロ曲では、短いんですけど「Reflection」が好きです。酔っ払ってるけど。
二都物語の他には「レ・ミゼラブル」のジャン・ヴァルジャンが市長の立場から、自分が元囚人であることを名乗り出て無実の人間を助けるかどうかを葛藤するシーンも、大きな決断に至るまでの過程がとても丁寧に描かれてると思います。
キャラクターに大きな決断をさせるとき、そこに至るまでの心理描写を丁寧に分かりやすくしないと、突拍子もなく見えてしまうんですよね。どうしてそうなった? みたいな。
「異世界の犯罪者」や「紅の鳩」は、大きなことやらかす人が多かったので、その行為に至るまでの過程を結構気をつけて書いていた記憶があります。
好きになった→監禁しよう。みたいな流れの場合、私はそこに理由を求めてしまいます。性格、では済まされないと思うんですよ。犯罪行為だし。一般的な倫理観があれば、その決断には至らないし、実行しないんですよね。だから、アルベルみたいな生い立ちの人間をヤンデレにしました。
特に、紅の鳩のアンセルムは曲者でしたね……!私が書いた小説の中で、一番大きな決断を下したキャラクターだと思うのですが、紅の鳩自体が群像劇だったこともあり、表現が難しかったです。
これからも、いろいろな作品を読んで勉強していきたいと思います。