間話 過去は振り返らず
夜中の23時頃、フラブが寝てる間。
──アリマは転移魔法で自身の家に取りに行った白いTシャツに黒い長ズボンを着て、宿の部屋の前で景色を眺めるように腰まである壁に前に軽く凭れいた。
そして右手に持つコハハの家に仕掛けていた盗聴器と繋がった機械で会話を流して聞いていた。
「貴族の女性か。──可笑しいと思ったんだ……嘘は吐けないフラブ君が彼らは余を嫌ってると言っていた……」
── 其れに対して予め準備をしてる様な種類豊富な茶の粉も余への無駄に友好的な態度も……
微かに暗い表情を浮かべているアリマの長く薄黒い髪は微かに風で揺らされている。
「其処まで余を嫌っているのなら、最初からそう言えば良いものを……」
悲しそうな表情をして右手に持つ機械を簡単に指で跡形なく粉々に壊した。
「彼らは余に面と向かって言うのは無理か……余は規格外だから……」
それでも涙を流してもおかしくないほど思い詰めた表情をしている。そして無表情ながら悲しそうな表情で階段がある左側の通路へと歩き出した。
そして朝の5時頃、日が少し昇っている時間帯までアリマは散歩しており和菓子屋の前に着いた。その和菓子屋の前にはコハハの姿があり、コハハは眠そうな表情をしてアリマと向かい合って話しだす。
「ここって毒が盛られてた和菓子屋でしょうか。それで話を?」
「ああ。まだ営業時間外故に少し話をな。ここの警備と処刑課との連絡を任せたいんだ」
そんな答えにアリマに訝しむような目を向けながら腕を組んで首を傾げた。
「理由は? アリマ様がそこまで厄介ごとに首を突っ込む性格には見えません」
「余は和菓子が好きなだけ。昔に少しあってな、それから毎日食べる程に好きなんだ」
表情を一つとして変えずに答えるアリマに今度は呆れるような目を向ける。けれどもその呆れには少しながら心配くらいは込められていた。
「糖尿病とか大丈夫ですか? それ……」
「ああ。余に病など効かないからな。羨ましいか?」
「はい、とても。それで和菓子屋の件は是非俺に任せて下さい。期待に添えますとも」
「そうか。其れとお婆さんも無実だと考えてほしい。嘘の音はしなかった」
「……耳良いですね……確か心臓の音とか呼吸の速度とかで見分けてるんでしたっけ……」
それからもアリマとコハハは暫く和菓子屋の件について話し合いをしていた。だがアリマは疑いや嫌悪を表立って一切コハハへ向けることはなかった。




