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第序章 幕間「とある塔」
──その頃、とある塔にある広々とした部屋。
その部屋の奥側の壁にある大きい窓の外は暗く、雷が強く酷く轟いている。そして白いローブを着た2人が5メートルほど離れて話をしていた。
「タナカと弟を殺すチャンスをくれるんですね」
嬉しそうに言う者の姿は小柄でフードを深く被っていて詳しく顔は見えずとも手を後ろで組んでいる。
「うん。君だって感情があるんだ。殺したい相手が居るのは当然だし。だけどフラブは駄目」
優しい声色でそう言う男性は175センチ程の身長に白いローブに深くフードを被っていた。
「フラブ……貴方の妹さんですか、分かりました」
「間違っても僕の出番を台無しにするな。ココア」
真剣ながらも少し悲しそうにも聞こえる優しい声色でそう言う男性は軽く腕を組んだ。
「はい、心得てカケイを惨殺して参ります」
昔と変わらずのココアは立ち上がり、背後にある部屋のドアからその場を後にした。その部屋に残った男性は微かに俯いては軽くため息を溢す。
「フラブさえ生きてれば、僕は……」




